第42話 予選最終試合


今日の試合は皆、遊び過ぎてちょっとコンディションが悪かった


勝っても負けてもいい試合だから、このまま遊び心満載で行こうと思う

きっとTVや報道では「絶対に負けないとか落とせないとか勝てる相手」など色々言われているのだろう


「よーし、皆準備はいいか、今日のキャプテンは臨時で森園だ」

「はい」

多少疲れている奴も要るが大丈夫だろう。ちょっと点取ったら早めの交代と行こう

「そうだな、今日は相手もフォーメンションを見て面食らうはずだ、そこで貴田の出番だな」

「わかってます」

「最初の15分でチャンスがあれば、ゴール前まで運んで決めても良いしラストパスでもいい、任せるぞ」


人に仕事を任せる事は本人の成長にも繋がるし自信にもなるだろう。俺は人材育成のエキスパートである教師の経験もあるから余裕だが、最近事務処理多くて死にそうだ


「点を取ったら早めの交代するからな60分頃になるだろう」


これを言っとかないと選手が自信なくすんだよね、ホント人の心と女心は難しい……嫁に会いたいN○Rが心配だ

「さぁ行ってこい頼んだぞ」

「はい」

自信満々に選手は出て行った


************

「MB○放送の柴山です本日の実況は私柴山と元日本代表の髙田さん解説は辛口で知られる嶋岡さんでお送りしたいと思います」

「さぁ本日生放送されますアジア最終予選最後の試合となりますUAE戦です」

「実況の嶋岡さん今回の鳴海ジャパン如何ご覧になられますか」

「僕はねあんまり好きじゃないのよね、あの監督」

「それは嶋岡さんどうしてでしょうか?」

「オリンピックの時に暴力振るったでしょ、あれは良くないよ」

「嶋岡さんアレはしょうがないですよ、実際選手である高橋は選手生命が絶たれた訳ですから」

そう言って鳴海さんを擁護してくれるのは元選手の高田さんの声だ


「えーそれでは本日のスターティングメンバーです」

柴山がメンバー表をパネルで表示する

「これはちょっと配置が良く分からないので、始まって観ないとフォーメーションの形は難しいですね」

「前の試合で点取った山田と矢口を外すなんて考えられないね」

「それではCMに入ります」


そう言うとムスっとした表情で柴山は言った

「嶋岡さん注意してあったのに言い過ぎですよ」

「そうですよ、高橋事件は同情も多いんですから批判は少なめにお願いしますよ。協会にも言われてますんで」

広いスタジオで響く喧噪を周りは"何事だ"と白けていたが、ディレクターやアナウンサーは鳴海に取材できないのでイライラしていた。


「カメラ入りまーす」

手で数字のカウントダウンを始めた


「はいお待たせしました。間もなくキックオフの時間です」

「はじまりました。どうやら3-5-2の様な布陣ですね嶋岡さん」

「相手が1TOPなのに3バックはディフェンスが多すぎると思います」


「あーっと根本ここでパスカット素早く前に送ります」

「受けた森園が素早くスペースへ出します見事なカウンター」

「茂野がキックフェイントを入れて流し込んだ決まりましたゴ~~~~~ル」

「素晴らしいカウンターでした此処まで予選無得点の茂野が決めました。喜んでいます」

~~~


「いやー終わってみれば5-0の圧勝です鳴海ジャパン! 素晴らしいです」

「如何ですか柴山さん」

「鳴海監督の作戦勝ちだと思いますね。貴田も素晴らしい出来でした」

「僕はね3得点した茂野が良かったと思うんだよ」

「はい。それでは初戦を白星で飾った鳴海ジャパンの次戦に期待しましょう! ありがとうございました」


************

こうして俺達は予定通りに最終戦を勝った


得点した茂野と中馬は相当に嬉しかったのだろうか、ロッカールームに引き上げても熱が冷めない様子だった

逆に交代で出場した球は相当にフラストレーションを貯めていた


「アジア勢はまだまだなんだよ、それが良く分かった試合だったし、これからはアジア勢には絶対に負けるな」

「はい」

「いいか格の差は付けたら最後絶対に覆させない様にしないといけないんだ。多少レベルが上がっても俺達も上がっていると見せ付けるんだ」

オリンピックの予選を見越して予め説明をしておいた


こうして、しばらくの中断期間に入った

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