第43話 クラブの様子 高橋監督
師匠がWカップの予選を勝っていたのを見て、相変わらず師匠は凄いなと思った
僕が師匠に厳命されているのは、のぞみさんに変な男を近づけさせない様にする事です
当の本人であるのぞみさんは、結婚式の準備で大慌ての様です
後で師匠に伝えなければ親御さんに挨拶を忘れてますよと……
さて、僕の方だが師匠が居なくなるので、コーチと従業員を雇う事にした
その従業員候補だが……
「何でここに居るんですか楓さん」
そうここに居るのは師匠に妹さんに当たる楓さんが何故ここに居るのだろう?
「えぇ私もお兄ちゃんの仕事を手伝いたいの」
そう言われても、妹さんとなると師匠かのぞみさんに聞かないと無下には帰せない
仕方が無いので普通の面接をする
「ご志望の動機はなんでしょうか」
「給与とお兄ちゃんです」
「個人的にご質問何ですが、何でそんなにお兄さんに構うのでしょうか? 鳴海さんはもう十分に大人でしょう」
「お兄ちゃんが辛い時に力になってあげれなかったの。だから今力になってあげたいの」
僕は鳴海さんの過去を詳しく知らない、この機会に聞いてみるのも良いのかも知れない
「その失礼になるかも知れませんが、鳴海さんの過去を聞いても良いでしょうか」
「他言無用という事ならいいわ」
そうしてゆっくりと師匠の過去を語りだした……
師匠が中学2年生の頃、ユースの全国大会に出る程の逸材だったようだ
その時の準決勝の相手選手2人に2方向から足を挟まれて負傷したのが大本の原因でその後"右足後十字靭帯損傷"と病院で診断されたらしい。
妹さんが言うには、リハビリに1年ほど掛かったらしいし、負傷させた選手も監督も今は引退しているそうだ
結局誰も勝者が居ない悲しい結末となってしまったという事だが、話はこれでは終わらなかった
師匠はその後も諦めずにずっとトレーニングを18歳になるまで5年続けたそうだ
Jリーグのトライアル試験を受けてランニングで落とされたらしい、ボールすら蹴る猶予も貰えなかったと当時は凄く落ち込んでいたそうだ
師匠がそのトレーニングしていた時に身に着けたのが、あのふわっと蹴るクロスバーに当てる蹴り方と言っていた
あの技は蹴るのではなく、足で投げるとお兄さんは言っていたと彼女は言った
そして、その技はドリブルで幼少期に抜く時に相手の軸足の裏にふっと浮かせて走る方法から生まれたそうだ
「詳しい蹴り方なんかは分からないけど、貴方は恵まれ過ぎてるわ、もっと頑張って」
そう言い残すとそれが目的だったと言わんばかりに彼女は出て行った
そうか、彼女は僕がまだやれると言っているんだ、きっとそうに違いない
僕のリハビリはもう少しで終わる筈だ、そしたら後もう少し、"いや違う"師匠を越えて見せなければいけない
僕には師匠がいて、側に付いていてくれて、コーチとしても道が準備されて整っている
わずか22歳にしてクラブの準オーナーでありコーチなど普通はあり得ない
オリンピックに出ただけで僕が何かをした訳ではない
コーチとしてもまだ誰も育てていないし、最近師匠と一緒のせいか浮かれていた
トレーニングする場所は無料で目の前にある練習など、やりたい放題だし教えてくれる凄い師匠がいるじゃないか
何かの大きな感情が動いていた。これはやる気?
いや違う! 熱く燃える何かで僕の体温が一度上がった様な気がした。
これが情熱ってやつなのだろうか
鳴海ノートの一冊を僕は取り出し最初の一行を書き始めた
"師匠を越えてみせる"
その背後にギラリとした女性陣4名がいた事は誰も知らない
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます