第31話 土地と建物


俺と高橋は土地と建物を不動産会社に相談していた

クラブハウスの見積もりの為だ


俺は乗用車を運転して、予定地に行くと敷地が広がっていた

不動産会社の社員によると、土地と芝、芝の管理費だけで2.5億だそうな

追加したクラブハウスと寮で2.5億、都合約5億くらいだ

「それで芝の管理人は別ですか」

「はい別になりますね芝3面コートですから2人は必要かと存じます」

「もう少し何とかなりませんかね」

「大変申し訳ございません。鳴海監督様は地元の名士ですから、それなりには勉強させて頂いております」


俺は腕を組みながら高橋に相談した

「高橋どう思う」

「ソコソコですね相見積もりをしたところも大体同じ位でした」

不動産屋は手を捏ねて俺達の方を見る

「それでは4億9,500万でいかがでしょうか」

高橋はこくりと頷いた


「4億9,000万でしたらお願いします」


不動産屋はこちらをジッと見つめている。俺は目を逸らさずに見つめ直す。そして手を出し握手した

その二人に愛という名の関係はない。高橋の疑惑は間違っている


「不動産屋さんどれくらいで出来ますか」

「大凡半年といったところでしょう」

「手付金は必要でしょうか」

「はい、大変申し訳ございませんが半金ほど振り込んで頂く必要がございます」


頷いた俺と高橋は二人でゆっくりと学校へ車で戻った

俺は正直な所従業員とコーチのことは気になっていたので、高橋に尋ねた


「高橋はコーチの当てはあるのか」

「二人ありますよ。一人は自分の知り合いの須藤さんで、もう一人はフランスの知り合いです」

「高橋はフランスに知り合い居たのか」

「師匠も会ったことありますよ、ガレン君です」

キーというブレーキ音と共に、俺は愛車を止めて尋ねた


「なぜガレン君なんだ? 彼はお前の足を壊した奴だぞ」


高橋は、優しい表情で、ゆっくりと俺に言った

「彼はあの後クラブを切られてます、その何ていうか怪我した僕も悪かったと思ってます」

高橋が言わんとしている事は分かる気がするが、俺は納得できるのだろうか

「高橋はそれでいいのか? 」

「はい構いません」


微笑んだ高橋に俺は凄い奴だと思った


俺はもやもやした気持ちで愛車を再び始動させながら、高橋に尋ねた

「ガレン君は来ても大丈夫なのか、そのかなり周りの目がつらいと思うが……」

「師匠その辺はなんともいえないです、でもガレン君が手伝いたいと言ってくれたので、一緒にやりたいと思いました」

「わかった高橋の気持ちを尊重するよ」


俺は高橋にはそう言ったが納得出来ない気持ちでいる。この事を誰かに相談したいと思った時に佐藤のぞみの事が頭をチラついていた。依存しているのか、ちょっとどうすればいいのか分からない。


俺は家路を愛車を飛ばして帰った

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