第22話 3位決定戦 vs ドイツ


俺は目の前で起こった事が到底信じられなかった

ベンチサイドの目の前で高橋は削られたいたのだ

しかも信じられない方向に足が曲がってしまっていた

俺が思うにあれは選手の責任ではないはずだ、監督が指示して、そうさせたのだ


救急車に載って青い建物の中に入って行った。

静かな廊下の中で黄色く点灯する手術中のランプが痛々しくて見る事ができない


ランプが消えた後直ぐに、病院のドクターに詰め寄って俺は高橋の状態を確認した。

靭帯と骨折だったが、"右足後十字靭帯損傷"これは俺が子供の頃にやったもので、俺にサッカーの現役生活が無い理由でもある。


残念ながら、完治の可能性はほとんどないと言っていい

両手で顔を覆いながら俺は何といって高橋に声を掛ければ良いのだろうと考えた

いや、まずはやる事をやらなければいけない

明日も試合はあるし他の選手も動揺しているはずだ。


まずは、協会の会長に連絡しないといけない。

「会長、すみませんが俺は今回の暴行の責任取って辞めますので、最後の試合はコーチに任せます。戦術は選手に任せますので、自由にやらせてやって欲しいとコーチに伝えて下さい」

「高橋君の事は電話で問い合わせて聞いた。君の気持はわかった。君が出れる試合はもうないから高橋君に付いて居てやると良い、自由にしたまえ。FIFAとオリンピック委員会には厳重に抗議しておく」

「お願いします」

そう言って電話をきると俺は苦虫を潰したような顔で高橋の病室へ行った。


「高橋大丈夫か?」

虚ろな目で声を掛けたが、ありきたりな言葉しか浮かばない俺がすごく嫌だった。


「大丈夫です監督。俺付き添いの人に怪我の病状は聞いたから、でも諦めませんよ」


そう言って高橋は輝くような表情で笑った……


---

「さぁ3位決定戦です。入りました情報によりますと、高橋選手は"右足後十字靭帯損傷"の為に一時帰国となり監督も付き添われて帰国した模様です」

「非常に残念ですが、一日も早い復帰をお祈りいたします」


「あっとここで選手入場ですが、ピッチに選手が入ってきません。どうしたのでしょか」

「そうですね、何があったのでしょうか」

「審判がここで様子を見にロッカールームへ行きました」

「審判団が協議を始めました」


「今入りました情報によりますと選手がボイコットをしているようです」

「いけませんね、ボイコットの場合は出場人数が規定以下となるため自動的に敗戦です」

「今審判が、長いホイッスルを3度吹きました。試合終了です」

「スコアボードに3-0の文字が表示されます。日本3-0で敗戦です」


「没収試合の為、3-0となりました、どうやら選手がボイコットしたようです。前代未聞の惨事となりました」

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