第21話 準決勝 vs フランス


俺はロッカールームで全員を集めて気軽に話を始めた。

「お前ら今日はここまで良く来た。俺はもう負けてもいいんだぞ」

「そんなの監督が負けたくない癖によく言うよ」

俺との付き合いが長い矢口が爽やかに笑いながらそう言ってきた

「すまんな矢口は得点王の可能性があるけど今日はベンチスタートだ」


正直ところ、矢口は昨日の延長でスタミナがもう限界だった

他の控えのFWか高橋に頑張ってもらうしかない


「今日は延長戦はスタミナの問題で無理だ。選手交代はしないしメンバーも決勝温存する人選だ。負けても3位決定戦があるからな」

今回のスタメンは今までの半数を入れ替えている。

「高橋お前が全部の鍵を握っている。頑張れよ」


そう言って”バシン”と肩を叩いて送り出した


この出来事を俺は一生忘れる事が出来ないだろう


---

「それでは準決勝日本対フランスです。いよいよ始まりますね八木さん」

「日本は男子の銅メダルが最高順位で今回にメダルの期待が掛かります」

「私はドキドキして参りましたが、いよいよ選手入場です。今回はスタメンを大幅に入れ替えて来た鳴海監督です」


「どうやらキックオフのようです」

「はい楽しみですね八木さん、今日の展開をどう見ますか」

「正直予想がつきません。あーと良い攻めだ鯉口選手から山田選手そして高橋選手へと繋がりますが倒されます」

「ちょっとフランスのファールが気になりますね」

「前半ここまで0-0です。後半に期待しましょう」

「両者一歩も譲らない展開になってきました。1点が勝負を分かつでしょう」


「高橋選手がドリブルでボールを持ってグングン進みます」

「フランスの選手ともつれる様に倒れました」

「あれは相当に危険にみえましたが、大丈夫でしょうか」


「あーと後半32分高橋選手が倒れて起き上がれませんが、大丈夫でしょうか」

「深刻でない事を祈りますが、今ビデオが出ます」

「これは高橋選手、足を踏みつけられて、膝に相手の体重が掛かった足が入っていますね、利き足である右足が逆方向に曲がって白い物がみえてるようにも見えます」

「審判がイエローカードを提示しました。イエローカードがフランスの選手に出されました」

「八木さんアレはレッドカードが妥当ではないでしょうか」

「ええ、普通の危険行為とは別に怪我するような危険行為は一発でレッドが普通です」



「あーと鳴海監督、ベンチを出て審判に猛抗議をしてます」

相手のベンチへ鳴海監督が抗議をしに行きました、非常に口論になっているようです相手の監督も熱くなっているようですね」

「あー口論の末に相手の監督を殴りました。これはいけませんね、いかなる場合も暴力はいけないでしょう」


「鳴海監督が高橋選手に付き添いながら下がって行きました」

「コーチが矢口選手を投入します」

「高橋選手の状態が心配ですが、ここは試合を見守りましょう」

「サポーターが高橋のチャントを歌ってます。会場全体がまるで歌っているようです」


「あーっとここで試合終了、1-0日本は無念の3位決定戦にまわります」

「次戦は鳴海監督も出られません。これは影響が大きいでしょう」


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