第8話 サッカー協会松尾会長のお話



記者会見の翌日サッカー協会会長の松尾は苛ついていた。

たった一人しかいない美人秘書に少し八つ当たりするかのように話している。


「あいつから電話はあったのか? 今日来ると言っていただろう」

いつまでも訪れない鳴海を待っているらしい。

「会長にお電話はありました。今日の練習を見ないといけないので終わってから来られるそうです」

イライラした表情で爪を噛みながらウロウロしている。


「そういえばサッカー協会のスポンサーの反応はどうだ?」

「はい、かなり好評を得ています。記者会見の映像を使いたいので現物の映像を抑えて欲しいとおっしゃっていました」

それはそうだ、あの映像だけでyou○ubeのトップを取りかねんと思った。あいつにあんな技術があったなんて驚きだ。


「では早速電話しよう。くず○TVでよかったよな」

「いいえホ○モTVの方になります」

「なんだとあの女狐がいる処か。まったく」

「繋いでくれるか」


秘書の方が電話をして繋いでる様だ"繋がりました"


「儂じゃサッカー協会の松尾会長だ」

「どうも佐藤です今日はどういった用件でしょうか」

「ああ、記者会見の映像を使いたくてな。持って来てくれ」

「会長さんすみませんが、あの会見は鳴海さん個人の会見を私どもの会社がしたことになってますわ。なので映像の権利は私共に無くて、肖像権は鳴海さんですわね」


真っ赤なゆでタコの様に赤くなっている。


「わかった鳴海に言う」そう言ってがっちゃりと切ってしまった。


秘書の方が頭をさげて喋る

「鳴海監督がお見えです」

「おお、待っておったぞ座りなさい」

そう言ってソファーに座らされる。"紅茶を頼む"と秘書に指示している様だ。


「まず契約だが、契約前に会見してしまったからな、今更金額は動かせん1億2千万円だ」

「不満か?」

「ええ、そんだけあれば大丈夫です」

「ところでフィジカルコーチやアシスタントどうする」

「いりませんね」

難しい顔をしながら鳴海が答えるが会長は戸惑っていた

「せめて、代行権もったコーチは1人出す。アシスタントコーチになるが、監督退場時や出れない時ようだな。これはすまんが強制だ」

「それで会長合宿したいんですけど、どうでしょうか」

「その前にメンバー表だ」

「持ってきましたよ。はい」

「レター送るからちょっと待ってくれって、おいホントにコレで良いのかお前の教え子5人しか入ってないぞ」

「ええ構いませんよそのかわり合宿まえにもトレーニングさせたいので、各クラブにいっても大丈夫でしょうか」

「それは根回しが終わったら電話する」

思い出したように会長が言い始めた


「協会のスポンサーがこの間の記者会見の映像をCMに使いたいそうだ。いいな」

「ダメです。じゃ監督なるのやめときますわ」

「今更できるか、しょうがないスポンサーには私が電話する」

「お願いします」

ふぅと息を吐き今しがた来た紅茶をゆっくりと飲む

「ところで、どの辺までいけそうだ」

「判りません。行ける所までです」

「わかったケツは取るからいけるとこまで行ってこい。いいな」

そう言って立ち上がりお互いに握手した。


秘書さんがメガネをキランと輝かせながら言いました。

「良い後継者ですね、逃げられない様にしないといけませんわね」

「まぁ今夏の結果次第だな」

「婿にどうだ」

「いやですわ、夏の結果次第です」


そうかと笑って窓を眺めた

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