第6話 高橋 大地(22)の場合

俺の名前は高橋 大地(22)Jリーグの東京クラブ所属のMFだ。


俺の場合はMF登録されている。中盤ならどこでもできるタイプだ。U19の頃から代表の常連になった。

今のU23の前身であるU22で、アジア予選を戦った時レギュラーだった。


有頂天になっていた。TV放送され、恋人にも恵まれ人生絶好調だった。中国とサウジアラビアに負けるまでは……


後り試合数が2となり、一試合も落とせない状態になった時に当時の高木監督は更迭された。監督代行が指揮を執り、山田一と矢口球の一つ世代が下の選手を呼んだ。欧州で挑戦を続けている二人にとって、オリンピック予選のしかもアジア予選など、出たくなかっただろう。予選敗退の危機になってサッカー協会がレターを何度も出し2試合だけという条件で2人は連れて来られた。


2人は2試合立て続けに点を取り欧州へ帰って行った。俺達が日本に帰った時には状況が変わっていた。鳴海という学校の先生をオリンピック監督にと騒ぎ始めた。聞いた事が無かったが山田一と矢口たまの恩師だとわかった。


鳴海という先生が結論を保留として出さなかったので、監督代行がそのまま指揮を執りU22アジアの決勝ラウンドへ進むことになった。また、山田一と矢口球は呼ばれた。


決勝まで進みオリンピック出場が自動的に決まったので二人は帰った。帰った途端に負けたチームは鳴海待望論が沸き上がった。


もし鳴海先生なる人物が監督になったら、俺はスタメンとして試合に出れなくなるに違いない。オリンピックはOA(オーバーエイジ)枠というのがあり3人まで23歳以上の人を呼べることになっている。選ばれる選手の枠は更に狭まるのだ。


今のA代表の選手は欧州のリーグでやっている選手が多い。特に中盤の選手がだぶついて溢れている。

アジア予選が終わった頃には俺と彼女は疎遠な関係になり、今までエースだった俺の扱いは豹変した。


明日には鳴海という先生が記者会見するらしい。どうか監督を断ってくれ。俺は高木監督のお気に入りだったんだから、鳴海が監督になったら落選するだろうと思うと監督にならないでくれと祈らざるを得ない状況だった。

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