第59話 俺、元の回路に戻った?

 せっかく出口が見えて、対話が終わったはずなのに、俺はまた閉じたようだった。阿瀬みちさんは、公開だとまずいかもしれない、正直すぎると書いてくれた。


 俺は、書くのはやめたはずだった。苦しい苦しさが倍増する。


阿瀬みちさんは、思ったより闇が深かった、と書いた。俺が、カウンセリングなど意味ないから行かない、と言った意味。ちょっとわかってくれたのかもしれない。俺の現実はちょっとおかしい。


 母さんに言わせれば、あなたがそんな道を選んで歩いてるのよ、と。俺、そうじゃない。「いい子」にしてきたはずだった。途中までは。


 本当の俺じゃないけど、俺は、ずっと「いい子」でいたはずだ。



阿瀬みちさんは何らかの知識があるんだろう。統合性を取らない人格、という言葉にとても……一歩下がってもおかしくない。


 危ない。俺、統合失調症の発症を間近で見たことがある。本当にまずい。でもあれは、遺伝的な要素と精神的なショックが大きい。俺は大丈夫。


そうか。わかった。


 心配の理由。


 俺が、前世や他の……ことを書いたからだ。


 あれは大真面目にいうと、入院させられる。だからだ。


 心配しないでください、アテナイは創作ですよ。俺は、見えている世界について、全ては虚だと思ってます。この現実でさえも。そう思わないと、まずいことになると、そういうこと……。真面目に心配してくれている。


 俺が経験していること、見ている世界なんて、本当につまらない世界です。

それでもこんなに苦しい。本当に、どうやってゲームクリアしようか、もっとクールになれたら、俺自身、こんな悩みませんよね。


 極端な世界を見れば、珍しいから面白い。ゲームするなら、その方がいいと思ったのは俺です。予言の自己成就ですよね。俺の蒔いた種です。

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