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「ふぅ」

 ふと考える。あの頃から俺はどう変わっただろう。

 確かに世渡り上手にはなったし、バーテンダーとしての技術も磨けた。夢だった自分の店も持ったし、固定客も一定はいる。宝石を磨き切ったとはまだ言えないけれど、形は見えて来たと思う。あとはカット数を増やして沢山光を取り入れて反射させられれば、満足できる宝石が出来上がるのかも・・・

「完成は永遠にないかもしれないけれど」

 どこまで行けば完成なのか、そんなこと分からない。一定のレベルのものはきっと出来上がるはず。けれどそれで満足できるかはまた別の話だ。

 現状に満足するということはこれからの進化を捨てるということ、なんて言葉があるように“宝石を磨けた今”に満足すればそれ以上の輝きは得られないわけで。

「結局変わらないのか」

 昨日よりも今日、今日より明日、明日より明後日、俺は進化していきたい。今以上に、素敵な人になるように。その意識も、人知れず星に願いを掛けることも、昔から変わらない。

 願いは口にすると叶う。星なら黙って俺の願いを聞いてくれるから。

 いい歳して星に願いをだなんて、笑われるだろうから誰にも言えないけれど。

「良い意味で初志貫徹? なんてね」

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