第8話


「結城弟、あとで職員室に来るように!」


「ちょっと、先生」


「とりあえず、水谷さん。

 今開いている席は、あの野獣の後ろしかないのだが」


「問題ありません」


 水谷さんは、そう言うと僕の席の後ろ座った。


 うわ。

 女子の視線が痛い。

 HRが終わると、僕は担任に呼び出され一部始終を話した。

 すると、担任は安堵の溜息をついたあと小さく笑った。


「そうか、そういう事情か……

 まぁ、あの子も前の学校で色々あったんだ。

 できれば、仲良くしてやってくれ」


 僕は、そう言われると軽くうなずいた。

 教室に戻ると瞳が僕の誤解を解いてくれたらしく、冷ややかな目を送られる心配はなかった。


 水谷さんは、クラスメイトたちに質問攻めにあっていた。

 無口であまり話したがらないタイプな為か、かなり戸惑っていた。


 よく見ると、容姿も結構可愛く。

 身長も小柄なため、特に男子達が集まっていた。

 水谷さんは僕の存在に気づくと小さく謝った。


「ごめんなさい」

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