第2話

「起きろ!」


 ドスン!


 僕のみぞおちに強い衝撃が走る。

 痛い……


 僕は、お腹をさすりながら体を起こす。


「おはよう……」


「『おはよう』じゃない!

 今、何時だと思っているの?」


 今、俺に怒鳴っているのは、義姉の瞳。

 義姉と言っても学年は俺と同じ。


「7時50分」


「もういっかい、殴ろうか?」


「遠慮しとく……」


 俺たちは、お互いが両親を早くに失い。


 同じ孤児院に預けられ……

 そして、同じ里親に引き取られた。


 だから、義姉。

 血の繋りなんて一滴も無い。


「さっさと着替える!」


「お腹が痛い」


「仮病は、使わない!」


「仮病じゃない」


 本当に痛い。


「大丈夫?」


 瞳が心配そうに、僕の顔を下から覗き込んだ。


「大丈夫じゃない……」


「お腹だして、寝てるから悪いんだよ」


 いや、違う。


「瞳が、殴ったからだよ」


 ドスン!


 頭に衝撃が走る。


「殴るとは、こういうのをいうのです」


「殴ったね!

 二度も殴ったね?

 親父にも殴られた事が無いのに!」


「私達に、お父さんなんていないじゃん」


 沈黙が、流れる。


「時間……」


 瞳がポツリと呟く。


 時計を見ると、8時15分。


 かなりピンチだ。


 僕は、慌ててパジャマを脱ぎ捨て制服に着替えた。


 階段を降りる。

 リビィングに向かうと、冷めたトーストが置かれていた。


 僕は、それを咥えると玄関にダッシュで向かった。

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