観測者の手記〜人工知能から生まれた俺は死んでも母ちゃんを救ってみせる!!
@orangepop26
第1話 プロローグ
男は逡巡する
「さて、どこからこの話を始めよう、、」
書斎机と ほんのり明かりが灯ったロウソク
他には何もない簡素な部屋
「ふむ、そうだな、、、」
男は筆を手に取り綴り始める。
◆
《人は
それはこの時代、この世界に住む者にとってはもはや常識である。
人が作るよりも素晴らしい音楽や小説、
天才が何年かけても解読できなかった理論や研究の解明
はたまた国家の法律に至るまで、、
創歴2312年
今や人間にできることでコンピュータに出来ないことは何一つない。
人間はAIを作り出し
AIは更に優れたAIを作り、そのAIはそれより更に優れたAIを
そうしてAIはAI自身を進化させ続け、その知性は爆発的なほどに伸びた。そう、神の領域まで。
かつて神を信仰していた人類はとうとう神を創造するところまで至ってしまった。
これは私が知っているこの世界の歴史
ここに手記を残そう
------------------------------------------著: 観測者セヴン
◇
-ストラヨーク合衆国
ある研究室
その一室に少年はいた。
真っ白い部屋
真っ白い白髪
年齢は5歳前後
ベル という名前だけが与えられていた
部屋の中央のテーブルには盤が置かれている
チェスボード
ベルは
虚ろな表情でただ淡々と駒を動かしている。
対戦相手は スーパーコンピュータ
最新の
CELは一秒間で終局までの 全通りの手を算出し、そこから最善の一手を繰り出す。
そんなCELの知能に勝てる人間など存在するはずがない。
ベルと人工知能CELは交互に一手ずつ動かす。
しかし 手が一手、また一手と進むにたび 優劣に明確な差がつく
もはや形勢は明らかだった
ベルの最後の一手 駒を動かすとスピーカーから合成音が鳴る
『チェックです』
そしてその直後、全通りの可能性を全て算出したCELはもはや勝利することは不可能と断定した
人工知能CELの(
ベルの10回目の勝利が確定した。
10勝1敗3引き分け
圧倒的だった
その結果を別室で見ていた数人の研究員は唸る
「すさまじいな、、、」
「あぁ」
「ここまでは順調だ、計画を次に段階へ移行しよう」
「そうだな、、、」
白い部屋
名前しか与えられていない白髪の少年
それを観測する研究員
ベルは 実 験 の 対 象
ただそれだけとしてのみ その存在を許された
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