常識を知らない英雄達に育てられた俺がその英雄達のお世話をすることになりました

@Rlqsia

八英雄の伝説

レギムンド王国。その国には8人の英雄が存在していた。

一人は伝説と言われていたドラゴン、火竜3体を単騎で倒し手懐けた人族の女性。「龍殺し」カーファ・ドーレ22才。

その美しさに何人もの男性が求婚を申し立てたがどれも瞬殺。「死ね、興味無い」で沈黙させていた。その中には上流貴族も多くいたという。


そして2人目と3人目がレギムンドに押し寄せた魔物の万軍をたった2人で殲滅したエルフと人族の女性。

その2人はいつも頼まれてもやらなかった仕事(クエスト)を自分たちからやった事について騒がれていたがその理由が「うるさかったから」らしい。それを聞いた王は目眩で倒れた。その2人は「絶対殲滅」ノア・マクレーン。127才「水蓮氷花」タチバナ・ミズハ。19才


4人目がレギムンドに飛来した直径200メートルの隕石を残骸すら残さず破壊し、国を守ったとされる人族の男性。「豪神」ダガル・ライガ。30才

隕石を破壊し勲章授与の時ダガルは言った「この程度での表彰は俺としてはあまり好ましいものでは無い。そうだな、いつか神でも倒した時に祝ってもらおう」案の定王は目眩で倒れたらしい。


5人目が隣接する2つの王国、アスルガンダ、フェリフェラリアに現れた伝説級の魔物を瞬殺し復興に貢献した天人族の女性。「殺麗美魔」ミルネ・ティルファ。400才

彼女は倒した時に駆け寄ってきた冒険者達に告げた。「友達に会いに行く時邪魔だったから殺った」冒険者達は帰ろうとするミルネの背中顎を外しながら見送ったと言う。鼻歌混じりに手に持ったお土産袋を振り回すミルネを。


6人目は若干25才にしてレギムンドの王国戦士長になり、その年に攻め入って来た同盟を組んだ他国の万軍全てをたった一人で返り討ちにし、王国の旗をその地に突き刺した人族の男性。「億戦錬磨」トア・クライス。

彼は言う「俺が入れば王国に危機はない!」そしてその言葉通り他国の猛者達は口々に「あんな国と戦争なんてやれるか。」と鼻をほじりながら答えた。


7人目は誰もが諦め放棄した未踏破だった伝説のダンジョンを僅か30分で踏破し帰ってきた猫人族の女性。「幻廻天」ミーニャ・ネコット。20才

彼女が持ち帰ってきた袋の中は化け物クラスのモンスターから出てくるアイテムの山。そして金銀財宝だった。

金銀財宝を手に彼女は「これ価値あるにゃ?綺麗だったから持ってきたゃけどやっぱり要らないからポイするにゃ」そう言って海に投げ捨てたと言う。投げ捨てた財宝の価値はレギムンド王国にある宝物庫の3倍以上の物だったと推定されている。


最後の8人目は世界最強と言われていた伝説級冒険者が集う裏ギルドに殴り込み3分でボコリ、蹂躙し、自分の私有物にした魔族の女性。「超絶無敵」ヤミナ・クアラ。301才。

彼女は何故殴り込みに行ったのかと王に問われた時放った言葉は「ユウ君に怒られたから」らしい。王は勿論倒れてベット行きだった。


そんな常識外の英雄達は全員顔馴染みで、とても仲が良かった。しかしある村の仕事で子供を拾い育てることとなった。

その時誰が育てるのかと口論になり挙句には勝ったやつがその子を育てることになり何もない草原でバトルが勃発してしまったのである。


レギムンドの国民は口々に言う「世界の終わりかと思った」と。

全員の力は拮抗し、その地は原型を無くし山は消え地面からは溶岩が漏れ出したと言う。

そして決着が着かないまま全員が力尽き倒れた。その時誰が口にしたかは覚えていないらしいが「全員で育てればいいじゃん」その言葉に「アッ…」と声漏らしたと聞く。


そして全員が住む家が建てられそこに埒外八英雄が移住した。そして育てられることになった子供こと俺、カミノギ・ユウ12才。拾われた年から既に3年が経った今でも英雄達からは溺愛されていた。

そして色んなことを学んだ。魔法、剣、龍の殺し方、殲滅の仕方、盗みのやり方etc…

そんな中誰が呟く。「あれ?この中で常識知ってる人、手挙げて見て」


ー……………


静寂。八英雄は汗を垂らし俺から視線を逸らす。大の大人が「食べ物はどうやって育つの?」の解答を知らなかった。「空から降ってくる」そう答えた。天人族のミルネですら「地面から盛り上がってくる」と答えた。そう、常識を知らなかったのだ。

そしてひょんな事からそんなバカ英雄達に育てられた俺がその英雄のお世話をする事になった。「これで1人立ちできないから結果オーライ」そんな言葉が聞こえたが多分空耳だろう。


それから一日が流れる。朝の訪れを知らせる音色に俺はベットから起き上がり背伸びをする。階段を降り、台所に向かい朝食の支度。


「はぁ、それじゃぁ取り掛かりますか。」


俺、カミノギユウ12才。八英雄のお世話をする事になりました。





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