トンカツ姫

ポテろんぐ

下拵え編

プロローグ

 トンカツは不安を感じていた。両親の薦めで結婚したソースとの福井の農家での暮らし。


 たしかに悪い人じゃないわ。


 でも、毎晩、キャベツの藁の上で抱かれるたびに不安になるのよ。私の人生、これでいいの? って。

 そんな時、脳裏にいつも過るあの人。若い頃、街で一度会っただけの彼。トキタマーゴ王国のタマゴトージ王子。


 でも、叶わぬ夢。

 あの人は王子様。トンカツのアタシは福井の農家の嫁。


 決して叶わぬ恋なのよ、トンカツ。


 そう、思っていた。朝の事だった。


 一台の馬車がトンカツを迎えにやってきたのだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る