第129話

日米が開戦してまだ一年足らずの為か、太平洋の波は未だ穏やかで、秋の陽光が暖かい頃であった。お灸がよく効いた私は實と秀雄と洋子を連れて、その出張する先生の後を追って白糠(釧路の手前の町)の禅寺(瑞英時 曹洞宗)迄訪ねて行った事がある。瑞英寺は眼前に海が見える眺望の良い丘の上に建っていた。

初めて見せる太平洋の海岸で子供達は喜んではしゃいでいたが、幼かった秀雄と洋子は覚えているのだろうか。

中々入手し難いワカサギのつくだ煮一箱をやっと持ち帰り皆に喜ばれた。

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