ビー玉

ビー玉を転がした

いくつも

いくつも


床に転がるビー玉を眺めた


綺麗だ


一つを拾って

光にかして見た


不思議な世界がこの中にあるようで

中に入りたくなった


この中に入って

君を閉じ込めて

二人きりの光の世界で

君のことだけを考えて生きるんだ


いつの間にか

部屋は暗くなり

ビー玉も黒くなった


現実世界に戻った僕は

何もかもを否定されたような気持ちで

ビー玉を床に落とした


君は手に入らない

僕は君を捕まえられない


だって自信がないから

勇気もないから


君の前に行くこともできない

僕はダメなやつなんだ


でも

ビー玉の中なら

君に会えるんだよ

君を閉じ込めて独り占めして

抱き締めることができるんだ


部屋の電気をつけて

またビー玉を拾う


ほら

また

君に会えたよ



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