鳩に会う
「運命って信じるかい?」
と、その鳩は言った
「君が望むなら、僕と一緒に空を
私はやりたいこともなく
ただ毎日をぼんやりと過ごしていた
そんな毎日に少し飽きてきたところで
この鳩に出会った
「空を
「どうやって?」
「鳩になるのさ」
「なれるわけないよ」
「なれるよ」
「君が望めばなんにだってなれるのさ」
「…」
「まず手始めに鳩になってごらんよ」
「そして僕と一緒に空を
「白い鳩になりたい」
「いいよ」
私は白い鳩になり
鳩の彼と一緒に空を
美しかった
どこまでも広がる青い空と白い雲
そしてキラキラと体を光らせて
灰色の彼
本当に鳩になれた
白い鳩に
もしかしたら
なんにだってなれたのかもしれない
なにもできない
やりたいこともないと決めつけて
なにもしてこなかっただけ
もしも人間に戻れたら
なにかが見つかるまで
がむしゃらにがんばってみよう
戻れるなら…
「君が望めばなんにだってなれるのさ」
気がつくと
朝が来ていた
そして私は人間だった
カーテンを開けると
そこに彼がいた
目が合うと彼は
「君が望めばなんにだってなれるのさ」
「僕と鳩でいる未来を望んでほしかったけどね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます