鳩に会う

「運命って信じるかい?」

と、その鳩は言った


「君が望むなら、僕と一緒に空をんでみないか?」


私はやりたいこともなく

ただ毎日をぼんやりと過ごしていた

そんな毎日に少し飽きてきたところで

この鳩に出会った


「空をぶの?」

「どうやって?」


「鳩になるのさ」


「なれるわけないよ」


「なれるよ」

「君が望めばなんにだってなれるのさ」


「…」


「まず手始めに鳩になってごらんよ」

「そして僕と一緒に空をぶんだ」


「白い鳩になりたい」


「いいよ」


私は白い鳩になり

鳩の彼と一緒に空をんだ


美しかった


どこまでも広がる青い空と白い雲

そしてキラキラと体を光らせて

灰色の彼


本当に鳩になれた

白い鳩に


もしかしたら

なんにだってなれたのかもしれない

なにもできない

やりたいこともないと決めつけて

なにもしてこなかっただけ


もしも人間に戻れたら

なにかが見つかるまで

がむしゃらにがんばってみよう


戻れるなら…




「君が望めばなんにだってなれるのさ」


気がつくと

朝が来ていた


そして私は人間だった


カーテンを開けると

そこに彼がいた


目が合うと彼はんでいった


「君が望めばなんにだってなれるのさ」


「僕と鳩でいる未来を望んでほしかったけどね」

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