ガルダニズム
三隈 令
プロローグ
立入禁止区域
「ねぇお兄ちゃん。やめようよー。お父さんに怒られるの、なっちゃん嫌だよ」
「大丈夫だって。ちょっと探検するだけだから」
そう言うと
「嫌なら
「嫌だー、お兄ちゃんと居るの!」
不貞腐れながらも夏海はぴったりと後ろ手についてくる。ぷくっと膨らませた頬がなんとも愛らしい。
幾重にも張り巡らされたテープ群を抜けると、巨大な鉄格子が前方に現れた。
聡太は迷うことなく向かって右側へ進むと、鉄格子の下にある窪みに上半身を突っ込んだ。するりと難なく鉄格子を突破した聡太が、夏海に早く来るよう急かした。
「お洋服、汚れちゃう」と夏海。
「兄ちゃんが支えてやるから、早く来いよ」
夏海は「うん」と言って
「なんだよー。来ないなら兄ちゃん先に行ってるからなー!」
とたとたと聡太が走り去る音が次第に遠のいていった。
――それが兄と交わした最後のやり取りだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます