I believe

ノン❄

第1章

第1話

夕方から降り出した雨が一層激しさを増してきた


少しまで話してた彼の電話の声がいつもと違ってて...


何か言わなきゃと息を吸い込んだ途端、遮るように小さく低い声で「じゃあな」と切れてしまった電話


窓ガラスを叩きつけるような雨が降っている


もう一度、架けてみよう、戸惑いながら指を動かそうとした時、彼からの着信


「もしもし?」


「真優、開けて」


「どうしたの?」


慌てて鍵を開けると、ずぶ濡れになった彼の姿


長く伸びた前髪から滴るしずくは

雨なのか?

涙なのか?


俯くその顔を覗き込もうとすると、いきなり抱きしめられた


「会いたかった...」


「何か、あったの?」


問いかけに答えはなく、抱きしめる力が強くなる


「わかった。何も聞かないから、離して?

着替えないと、風邪ひいちゃうよ」


私の言葉にハッとしたように腕を緩めて、申し訳なさそうに言う


「ごめん、お前も濡れちゃったな」


湿った髪を撫でながら、弱々しい目で見つめる彼。

見ていられなくて...


「大丈夫よ。タオルとって...く...」


離れようとした私の腰をもう一度グッと引き寄せて、唇を塞がれた


「り...く...っ」


「今すぐ...抱きたい.....いい?」

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