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「俺も運動会は秋にあったんだけど、最近は春にするところが多いんだってさ。なんでも受験勉強の妨げにならないようにとか、秋は秋で行事が多いから、とか。あと、熱中症対策で、とかだってさ。俺、昨日めちゃくちゃ焼けたって言うのにさ」

 あはは、とうっすら赤い腕を動かして笑う。ひぃ、絶対油断したよな。だいたい男は日焼け止めとか塗らないしね。

「いやー本当、この時期の運動会なめてたわ、まさかこんなにこんがり焼けるとは」

「昨日は特別天気が良かったですからね。お風呂、沁みたんじゃないですか?」

「痛くて湯船につかれなかったよ。日焼けって軽く見てるけど、本当に火傷と一緒なんだよね。今度からは嫁の日焼け止め借りることにするわ」

「その方がいいですね。日焼けってただ黒くなるだけじゃないですから」

 日焼けの一番嫌なところは黒くなる所じゃなくて、むしろその前の焼けてすぐのヒリヒリするところだ。弱くしたシャワーが当たっても痛いんだから。

「マスターは日焼け止めとかちゃんと塗ってそうだよね」

「いえいえそんな、塗ったことなんてほとんどないですよ」

「でも凄く白いよね?」

「これは」

 これは、その、出不精と言いますか・・・ほとんど家に居ることが多いし、日に当たらない道を歩くことが多いから・・・誰がボッチのバンパイアやねんっ。

「その、長く日焼けとは無縁だったので、自然と白くなったと言いますか。昔はそれなりに焼けていたんですけれどね」

「そうなんだ。でもマスターが真っ黒だったらそれはそれで嫌だからそのままでいいよ」

 日焼け止めも日傘も差さないけどね。きっとこれからもボッチヴァンパイアを続けるだけだろうし。

「そうそう、これ、昨日の写真なんだけど見てくれる? 実は息子がね、選手宣誓してたんだよ」

「え、そうなんですか? 凄いですね」

「でもね、コイツもバカだから“宣誓”って意味分かってなかったらしくて、全校生徒の代表なのにさ、本当笑えるよね」

 この親あってこの子あり? いや、きっと息子さんの後ろにいた大半の生徒も同じように思って聞いていたに違いないさ。

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