変わりたい。

隣の佐藤。

第1話

小さい頃、蒼ちゃんに上げようと思ったキーホルダーをどこかで落としちゃって大泣きした事がある。

「蒼ちゃん…。私、蒼ちゃんにキーホルダー作ったんだけどどこかで落としちゃったの…。」

涙で顔がぐちゃぐちゃになって、しゃくりあげながら何とか言った。

「もう、私が一緒に探すから泣くなよ〜。」

「うん…!」

結局、キーホルダーが見つかるのは夕方まで掛かった。

キーホルダーは私が一度も行ったことのない川岸に落ちていた。



「…夢…?」

中学生になり、蒼ちゃんとは違う学校に進んだ。

(蒼ちゃん…私に何も言わないで違う学校行っちゃったんだな…。)

「すばる〜、早く準備しなさ〜い!」

「わ、わかった!」

お母さんに一喝され、学校に行く支度をする。

「すばる〜、私とお父さん今日帰ってこないからご飯作っておくね。じゃあ遅刻しない様に行きなよ。」

「うん。」

椅子に座り、美味しそうなハムエッグパンを食べる。3枚パンがあるが、それぞれ違うパンだ。

「お粗末さまでした。」

パチンと手を合わせ、食べ終わったあとの言葉を言う。少しテレビを見て、最新のニュースを見ておく。そして洗面台に行き顔を洗い、歯を磨く。

「行ってきまーす!」

天体望遠鏡を肩に掛け、家から出る。そして小走りでバス停へ向かう。


「…あ。」

向かい側の歩道に蒼ちゃんが居た。新しい友達だろうか、蒼ちゃんの本が取られて怒っている。どことなく微笑ましい。

「…。」

少し気まづくて、気付かれない様に目を逸らす。

(蒼ちゃん変わっちゃったな…。)

しばらく待っている内にバスが来た。目の前でバスが開き、それに乗る。バスの窓から蒼ちゃん達がいた所を見たけど、もう既に居なかった。



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