神ノ原のヒトビト
@goyouking
グラウンドゼロ1
「暑い。」
僕は、窓から差し込んでくる真夏の太陽に身を晒しながら気だるげに呟いた。
夏の風物詩ともいえるセミの鳴き声も暑さを増加させるがの如く、鳴り響いている。
夏休みとは帰宅部の学生にとっては人生の中でも数少ない長期休暇だ。
僕は高校に入るまでは、部活には絶対入らないと嘯いていたが、ある事件で先輩に弱味を握られてしまい、部活に入ることになってしまった。
ー超常現象研究愛好会ー、通称心霊倶楽部。そんな、馬鹿げた部活は創作だけのものだろうと思っていたが、実際に実在しているとは驚いた。全生徒に名前だけが知られている。しかし、その活動内容を
知ってい奴は数少ない。そんな、部活に僕は入部することになってしまった。
全ての元凶は、目の前でこの部室にひとつしかない扇風機を独占している、清廉潔白を絵にしたような黒髪ロングの女だ
。
「蕪木くん、暑いわ・・」
「先輩が扇風機を独占しているので、僕はもっと暑いんですけど・・・」
「蕪木くんは男だろ、それぐらい我慢してくれ」
「そもそも、先輩がクーラーを破壊さえしなければ、今頃は涼しかったんですがねぇ」
「あれは、機械が悪いんだ」
先輩は現在の高校生では、珍しく携帯を持っていない。最初はなぜ持っていないのだろうと思っていたが、先輩の極度の機械音痴を知ると納得した。彼女は、機械に触ると何でも故障させてしまうのだ僕もまさかとは思って、音の出る幼児向け絵本を先輩渡したらものの数分で破壊してしまっていた。このことから、僕は先輩にエアコンを触らせては不味いと思いリモコンを隠していたのだが、夏休みの初日に見つかってしまい、例に漏れず破壊された。
「ところで、先輩。ひとつ聞きたいことがあるのですが」
「なーに?」
「この部活の活動はされないんですか?」
「そうだなぁ・・・、する必要あるかい?」
「ダメですよ。一様、僕らは文化部として登録されているので、夏休み明けの活動発表会に参加しないといけないんですよ。」
「そんなのもあったわね。じゃあ、活動するしかないわね」
実は僕もこの部活の活動内容を知らない。僕が、この部活に入ってからやっていることと言ったら先輩の暇潰しぐらいだ。
「なにするんですか?」
「何って決まってるじゃないか。この部活の名前を忘れたの?」
「お化け屋敷に行きましょう。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます