第二十三夜 秋水

 赤児と話を終えてから、蓮司は家族とともに水底の建物の一室に閉じ込められていた。


 閉じ込められた、というには過ごしやすい部屋で、テーブルも椅子もあり、布団もあればソファもある。壁際には本棚もあり、砂の女、動物農場、高い城の男といった読んだこともない

本が置かれている。独房というよりは地方の小さな安宿を思い浮かばせるような部屋だった。


 ただし、決して出ることの出来ない宿だ。外に通じる扉はあるにはあるが、横開きのその扉はどれだけ動かそうとしてもビクともしない。部屋の奥には、最初に両親がいた部屋と同じく、縁側があり、外の池に通じている。


 そこから出て行こうかとも考えたが、池のなかに骨だけの魚が何匹も泳いでいるのを見て止めることにした。体も大きく歯も鋭い。池に飛び込んだ瞬間、食い殺されてしまいそうだった。彩は部屋にはいない。何かの準備があるとかで、蓮司たちを閉じ込めたあと緑の遺体とともに何処かへ行ってしまった。


 緑のことが頭に浮かぶ。要求に応じれば、彩は緑を蘇らせると言った。ただし、字面通りに生き返るわけではない。あくまで彼女の過去の振る舞いを模倣する屍鬼としてだ。


 魂の有無など、特異な眼を除けば一般人でしかない蓮司にはわからない。だからきっと蘇った緑を見たら、彼女が最初に屍鬼になったときと同じく、緑に対し、違和感を感じることはないのかもしれない。彩を騙る怪物を受け入れれば、過去視の眼もなくなり、怪異に巻き込まれた記憶も書き換えられ、あとには幸福な家庭のみが残る。


 死んだ筈の妹も、死んだ筈の兄も、死んだ筈の先輩も、そんな記憶はなかったことになる。


 起きた事実を忘れてしまえば、幸福を手に入れられるとあの赤児は言った。


 確かにその通りだと思った。この数日で体験したことなど忘れてしまいたいし、過去を見続ける厄介な眼もなくなってくれと何度も思ったことがある。


 彩の要求に頷けば、それらがすべて叶う。楽になれる。


 しかし、自分の何処かにある人間としての理性のようなものが、それは駄目だと訴えていた。忘れるのも駄目だし、緑の遺体を彼女の本当の意志を無視して動かすのも駄目だ。元の彩の居場所を化け物に奪われるのも認められない。


 そんな自身を縛る禁止事項が、偽物を受け入れることを拒否していた。


 いっそ両親が羨ましい。彼らはテーブル席に向かいになって座り、行きもしていない観光地の感想を語り、いない筈の彩の名前を口にしている。両親が幻視しているのは、彼らがかつて望んでいたものなのだろうか。


 いまの両親は、自分の未来の姿、その一欠片だ。彩の言うことに従えば、自分たちはああなるのだ。見たくないものは見ず、見たいものだけを幻視する。楽ではある。けどそれは、ほんとうに生きていると言えるのだろうか。夢のなかにいるのとなんら変わらない。


 そうした悩みと同時に、蓮司は啓のことも心配だった。 


 啓は縁側で胡座をかいて座り、身動きを獲らないままじっと考えに耽っていた。


 自分がほんとうは死んでいて、生かされているだけの身と知ったのだ。


 兄がいま何を考えているかはとても蓮司には想像出来なかった。


 なにを言える立場でもないが、あんな場所でひとりで考え込むのはマズい。そう考えた蓮司は、ソファから立ち上がり、啓のいる縁側に座った。座ったは良いが、ほぼ思いつきで立ち上がっただけなので、話せることなど何もない。やっぱりひとりにした方が良いかな、と足に力を込めたとき、啓の方から話しかけてきた。


「なぁ、武村のこと憶えてるよな。よく家に遊びに来ていた」


 武村悟。啓の小学校時代から中学二年までの友人だ。小学校、中学と同じ学生は他にもいたが、武村悟は特に啓と仲が良かったと記憶している。同じ剣道場に通い、同じ剣道部に所属していたことが、二人が親友とも言える間柄になった一因だろう。


 性格は明るく真っ正直を絵に描いたような人柄だった。活発で考えるよりも先に行動するタイプで、家に来たときは思いついた遊びをすぐに実行し、友人たちを楽しませた。


 剣道では性格を反映するかのよう攻めの姿勢を見せていた。同じ道場にいたので、蓮司も何度か模擬戦をしてもらったが、実力の差と、悟は年下に遠慮するという考えを持たないこともあり、ボロ負けしたことを憶えている。しかしそれも、啓が十四歳の時までの話だ。


「よく憶えてるよ。忘れるわけないだろ。葬式にも出たんだから」


「あの時は驚いたよ。まさか、お前のふざけた予言がほんとに当たるなんてな」


 啓は自嘲するように笑った。


 悟の死相が視えたのは、啓が中学二年の時だ。部活帰りに家に寄った悟に、左胸を突き刺されたような痕を視たのだ。いま思えば、あの時にすでに悟は死んでいたのだろう。自分に未来は視えない。過去を視る能力しかないのだから。だからあれは武村悟の影だったのだ。


 それまでにも死相を持つ人間は何人か視ていた。視え始めたのは、他人の過去を視えるようになった後のことで、過去視のことを誰かに言っても散々嘘つき扱いされていたから、死相持ちのことも諦めて、誰にも言わずにいた。


 だが身近な人間の死相が視えたのは初めてのことだった。それも啓の親友だ。さすがに伝えなければと思い、蓮司は啓に自分の視たものを信じてもらおうとした。しかし結果はわかりきっていた。啓は笑いながら聞き流し、しつこく言うと、そんなに悟に死んで欲しいのかと怒って、蓮司に教科書を投げつけた。


 その四日後だ。悟が死んだのは。家族と旅行中、海で溺れて亡くなった。ごく普通の、日本の何処にでもある死に方だった。悟の死を聞いたとき、啓が呆然としていたのを憶えている。


 皮肉なことに、その日以来、啓は蓮司の眼を信じるようになった。誰にも信じてもらえない孤独から解放されたが、友達のひとりを失って得たそれは、決して嬉しいものではなかった。


「お前は知らないだろうけど、悟が旅行に行く前日、俺はあいつと喧嘩してたんだ。ほんとうに些細なことで、貸した漫画に、あの野郎ジュースこぼして返してきやがった。それで口喧嘩になって、さらに互いの不満が爆発して殴り合い。ほんと、あんなことで怒るんじゃなかった。すぐに許してればよかった。そのことがずっと引っかかってるんだ」


「……知らなかった。そんなことがあったのか」


「誰にも言ってなかったからな。あのときから出来うる限り、後悔しないように生きることにしてるんだ。あんな後悔、早々にしないだろうけど、心の引っかかりは少しでも減らしたくてな。自分がやりたいと思ったこと、やらなければならないって思ったことは、どんな結果になっても全力でやろうって決めたんだ」


 そう言えば、葬式のあとから啓は変わっていたように思う。多くのことに積極的になっていた。大学に入ったらすぐに免許を取ると言い、実際に実行したのも、そういう心がけがあってのことだろう。


「けど、いまはどうすれば良いんだろうな。なにを選べば後悔しないんだろう。なにを選んでも正しい気がするし、なにを選んでも間違いな気がするんだ」


 ぼやくように言いながら、啓はじっと池を見つめた。


 迷うことなんて、ない筈だ。そう蓮司は思った。 


 言うことに従わなければ、啓に未来はない。すでに啓は一度死に、いまは屍鬼として仮初めの生を与えられている状態だ。彼を屍鬼にした者たちにその気がなくなれば、啓はすぐにでも死ぬしかない身なのだ。


 普段は迷わない兄が迷う姿を見て、蓮司は覚悟を決めた。


「そんなもん、迷うことなんてないだろ。あいつを受け入れなきゃ、兄貴は死ぬんだ。だったら、受け入れるしかないじゃないか。それともなにか? 兄貴がいなくなった家を、俺ひとりにどうにかしろってのか?」


 彩の偽物が、啓と緑を殺したことには眼を背けて、蓮司は言った。


 見るべきものから眼を逸らしていることに気づいてか、啓は自嘲するように笑みを浮かべた。


 不意に、部屋の扉が開かれ、彩と彼女を抱く屍鬼、そしてひとりの男が歩いてきた。


 白い着流しの上から、花菖蒲が描かれた羽織りを着ている中肉中背の優男だ。


 とても端正な顔つきをしており、黒い髪を首の根元あたりにまで伸ばしている。


 何処か退廃的な雰囲気のある男を見ると、いきなり両の眼が男の過去を視た。


 脳内に膨大な情報が叩き込まれる。その男がどう生きたか、なにをしてきたかが視えた。


 少年を抱いて泣く父と母。山と森、獣以外には何もない美しい景色。屋敷にいる表情のない人々。古く、大きな神木。東京の近代的な街並に、和風建築の何処かの学校。授業をサボり、将棋をする少年と赤茶色の髪をした、何処か見覚えのある少年。


 そうした様々なイメージが、次々に蓮司の脳裏を駆けて行く。


 最初は穏やかだったそれが、徐々に猟奇的なものに変わっていく。


 人間の解体作業。眠りにつく学生時代の友人に何かを寄生させる男。


 吐き気を催すようなイメージに、蓮司は頭を抑えながら膝をついた。すべてを見終える頃には、その男が何者なのかを理解した。


「……あんたが、元凶か……」


 男は賞讃するように口笛を吹いた。


「さすが、良い眼を持ってる。外界よりも遥かに霊気に満ちた所とはいえ、一瞬でぼくの過去を視るとは。君に眼をつけておいて良かったよ。あぁ、自己紹介がまだだったね。僕は紫堂秋水。いま君が指摘した通り、一連の怪異の元凶だ」


 友人に世間話をするかのように罪を告白する男に、強い異質さを感じたが、それよりも気になる単語があった。


「……紫堂?」誘と同じ名前に疑問が浮かぶ。


「あぁ、そういえば、君はイザナさまと協力して僕の曼荼羅を調査していたんだっけ。イザナさまと僕の姓が同じだ

からって、彼女が元凶のひとつ、なんて思わなくて良いぜ。いやまぁ厳密に言えば、とても遠い所から関わっていると言えなくもないが、この際気にしなくて良い。なんといえば良いか、イザナさまと僕の家の関係は複雑でね。僕らの家は彼女を土地の神として祀っているんだが、実際には彼女自身が初代当主に造られた屍鬼というか……」


「秋水、無駄話はそこまでにして。どうせ、忘れてしまうことなんだから」


 このままだと延々と話続けそうな秋水を、彩が嗜めた。秋水は肩を竦めて話を変えた。


「初めての客人なのにお喋りする暇もくれないとは。君、相変わらず余裕ないね。じゃ行こうか。準備は出来た。蓮司君の眼の摘出も記憶の書き換えもすぐに出来る」


 天井から中身が空洞のものがぶつかり合うような音が聞こえた。頭上にあるものを見て、蓮司はぞっとした。天井には大量の人型の骸骨がひしめいていたのだ。


「もう充分に時間は与えただろう。君たちも覚悟が出来た筈だ」


「待ってくれ!」踵を返そうとする秋水を、啓が呼び止めた。「その前に教えてくれ。なんで俺たちだったんだ。なにが目的で、こんなことしたんだよ!」


「なんで?」悲痛な声に秋水が振り返った。「特に理由はないよ。たまたま目に止まったから選んだ。それだけだ。強いて言えば、蓮司君の眼に興味があったから実験がてら手を出したって感じかな。それもほぼ偶然の賜物だし、まぁ事故にでもあったと思って諦めてくれ」


「ふざけんな! そんな理由で納得出来るかよ!」


「はは、じゃあ聞くけどさ、君はどんな死に方なら納得出来るんだい?」


 啓は押し黙った。そんなもの、あるわけないからだ。その反応に秋水は満足気に頷いた。


「うん。あるわけない。誰だって死ぬのは怖いからね。だからさ、逆に聞きたいんだけど、何が不満なんだい? 君は一度死んだかもしれないけど、いまはこうして、自分の意志を持って活動している。確かに、君の活動権限は僕たちが握っているよ。けどそれはルールが変わったと思えば良い。普通の社会でだって、形は違えどルールを破れば自由な活動を封じられるだろう。それと同じさ。いまの君は、いきなりそのルールを変えられて戸惑っているだけだ。少し体が違うという以外、君は他のヒトたちと何も変わらないんだよ」


 そんな理屈で抑え込める感情じゃない。それを吐き出そうと啓は秋水に食って掛かろうとした。だが、秋水は片腕を前に出し、啓に待つように示した。


「さっき、なにが目的か聞いたね。教えてあげるよ」


 一瞬の間を開け、これまでと同じく、世間話をするような軽さで秋水は言った。


「死の克服。それが僕たちの目的だ」


 あまりに現実離れした答えに蓮司は唖然とした。そんなこと出来るわけない。そう思ったが、その反証は、蓮司のすぐ隣にいる。


「正確には、人間社会における死の克服だ。特定の個人だけを対象にしたものじゃない。蓮司君も知っての通り、こ

の世の中には怪異というものが存在している。さっき沙夜に……」


「その名前は止めて」彩が秋水を咎めた。恐らく、それが彼女の本来の名前だからだ。


「失礼。さっき彩も言ってただろう。理不尽だって。僕もそう思う。日常起こりうる事故死も悲惨だけど、特に怪異によって起きる死は本当に酷い。だって君たちには対処のしようがない。おまけに死んだあとは怪異の秘匿に死体を利用される始末だ。倫理的にも精神的にもとても宜しくないと僕も思う。そうした理不尽を世の中から取り除きたくて僕と彼女は手と手を取り合って死の克服を目指すことにした。啓君は、その栄えある成果のひとりというわけだ」


 熱を帯びたような声を出しながらも、秋水の振る舞いは驚くほど冷めていた。日常と異常が同居したように佇むこの男の精神性は、蓮司には強い異物感のようなものを感じさせた。


「あんたがどういう理由でこんなことをしてるかはわかった。納得させろ、なんてバカなことももう言わない。そんなもん通用するレベルじゃないからな」


「うん。物わかりが言いようで大変けっこ……」


「けどな、なんでそこにいる彩の偽物まで受け入れなきゃならねぇんだ!」


 これまで悠々と話していた秋水が初めて押し黙った。さすがに彼もこの件については押し通すのは無理だと思っているらしい。秋水は目を閉じて少し考えたあとに話した。


「君の言う通りだ。道理はない。けど、僕は彼女と契約をしていてね、この仕事を手伝ってもらう代わりに、新しく人生をやり直すための環境を用意することになってるんだ。僕はそれほど君たちの家に興味はなかったんだけど、彩の方はいたく君たちの家を気に入ってね、新しく人生を初めるならこの家が良いと我が儘を言った。僕は最初反対したんだけど、ほら、偶然、たまたま、君たちのお母さんが流産して、前の彩ちゃんが死んだだろ。それでこれは丁度良いと思い、彼女の願いを叶えようと思ったわけだ」


 ごく自然に話していたが、偶然、という単語をやけに強調しているように感じた。


「おい、まさか……」


 それは啓も同じだったらしい。彼は僅かに怒りの滲んだ声で言った。


「まさか、母さんが流産したのは、お前らが原因じゃないだろうな……」


「さぁどうだろうねぇ。僕も常に君たちの家を観察してたわけじゃないからねぇ。けど良くないぞ、啓君。お母さんが階段から転げ落ちたのは君が水を階段にぶちまけたからだろう。前の彩ちゃんがそれで亡くなったかはともかく、その記憶から眼を逸らそうとするのは良くないな

ぁ。まぁ、その記憶が本当かどうかも知らないんだけど」


 白々しい言葉のなかに別の意図が込められていたのが嫌でもわかった。母が階段を転げ落ちたとき、蓮司はその場にいなかった。本当にそれが起きたのかも過去視で見たわけではない。  


 ただ気づいた時には、母が病院で運ばれ、流産したという事実だけがあった。


 あの時から、自分達一家は巻き込まれていたのだ。


「秋水、喋りすぎよ。もう会話なんて意味がないんだから行きましょう」


 彩の反応は蓮司が思いついたことを裏付けているかのようだった。彼女がやったのだ。


 啓に肩を掴まれた。彼の表情は、これまで見たこともないほどの怒りで歪んでいた。


「蓮司、これから俺が何しても、絶対に止めるなよ」


 兄貴、と呼び止めようとした途端、啓は走り出した。侍女が抱きかかえる彩の偽物を引ったくり縁側へと駆け、池のなかへと飛び込んだ。激しい水しぶきがあがる。


「兄貴!」蓮司は縁側へと走った。


 池のなかには骨の魚たちがいる。あの鋭い全身に襲われればひとたまりもない。


 縁側に辿り着くと、蓮司は池のなかにいる兄を探した。しかし暗くて池のなかを見ることは出来ない。陽が落ち始めているのか、外界から届く光が減っているせいだ。周囲に咲く彼岸花が水に滲む血のように見えて蓮司を焦らせる。いや、実際に池には彼岸花とは別の赤色が混ざり始めている。どうすれば良いかと全力で頭を回転させていると、不意に水面を破って、池のなかからひとりの女が現れた。


 黒髪を背中にまで伸ばした美しい女で、白い肌から浮き出たような赤い唇が印象的だった。手足は長く、豊かな胸としなやかな体には彼女自身の濡れ髪が張り付いてる。


 一瞬、女に眼を奪われたが、片腕に啓が抱えられた啓の姿を見て、蓮司はすぐに警戒した。啓の体には、引っ掻かれたような傷が幾つもあり、そこから血が流されていた。


 背後から空々しく響く拍手の音が聞こえた。秋水が手を叩く音だった。


「凄いね、啓君。まさに窮鼠猫を噛むって奴だ。まさか赤児姿の君に反撃してくるなんてね。彼は外見に惑わされず、自分の家庭をぶち壊した相手に復讐しようとしたわけだ」


「秋水! 余計なことはするなと言ったでしょ!」


「いやぁ仕方ないと思うぜ。だって君、僕の久々のお喋りを邪魔したじゃないか。引きこもりを舐めるなよ。話そうと思ってないことまで、気を引きたくてペラペラと喋るんだから」


 二人のやり取りで確信した。この女は、あの赤児が偽物の彩になる前の姿、沙夜だ。


 秋水を睨みつけると、女は縁側へと上がって来ようと池のなかを移動する。縁側に来た瞬間に、啓を奪い返そうと考えていると、いつの間に間合いを詰めたのか、隣に秋水がいた。


「君たちとのお喋り、中々楽しかったよ。良い余興も見れたしね」


 虚を衝かれた蓮司の額に、秋水は人差し指を当てた。その瞬間に急激な眠気が蓮司を襲った。


「少しの間、眠ってもらうよ。良い夢だと思うぜ。君たちがこうなって欲しいと思っていた夢だから。期待してくれ。次に目が覚めたときは、嫌なことは何もかも忘れて、その夢が現実に変わっているから」


 悪魔じみた予言を聞いたのを最後に、蓮司の意識は眠りの底に沈んだ。

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