かくれんぼ-3 プレイヤー和志 赤

 ルールも攻略方法もわかった。


 藍子ちゃんは気付いていないようだけど、校内新聞の裏面にはコードが描かれていた。


 後はこの三つのヒントを元に、どう動くか、だ。


 けれど、このコードを解く事はまだ出来ていない。


 藍子ちゃんが近くにいて試す事が出来ない。


 藍子ちゃんと離れたところで使ってみるしかない。


「どうしたんですか?」


 藍子ちゃんは心配そうな顔で俺の顔を覗き込んできた。


 本当に無垢な子だ。


「いやいや、なんでもないよ。とにかく、先に進まないと」


「そうですね。あれ? でも、このままだと和志君……」


 藍子ちゃんが何かに気付いた様子だ。


 やっぱり気付いてしまったか。


 そう思っていたところに、叫び声が耳に入った。


「今のって……」


「ああ、智巳ちゃんの声だ。急ごう」


 俺と藍子ちゃんは走り出した。


 前を走っていると不意に藍子ちゃんの足音が小さくなった。


 振り返ると、藍子ちゃんは足を止め校内新聞に目を落とした。


 そして、裏に捲り返し、コードを見つめる。


 俺の考えが見透かされているのか?


「和志君。このコード、試してみない?」


「あ、ああ」


 やっぱり、藍子ちゃんは気付いていた。


 このコードが各駅停車場所を解くカギだと言う事に。


 藍子ちゃんは立ち止まり、薄い蛍光灯の明かりの下でスマホを開いた。


 アプリを起動させ認証コードを入れる画面に繋がった。


「良いですか?」


 俺は首を縦に振る。


 藍子ちゃんのスマホに認証コードが読み込まれていった。


 すると、一瞬暗転し、スマホに学校の地図が映し出された。


「これは……」


 学校の中には何十もの矢印が存在していた。


 青い矢印と赤い矢印。


 その二つの色が混在していた。


 一番目を引いたのは、赤色と青色の矢印の多さだった。どちらも同じくらいいる。


 赤も青も、少なくとも三十人ずつはいるように見える。


 でもそれはおかしい。


 このゲームに参加しているプレイヤーの分だけしか存在しないはずだ。


 だから、目の前にいる藍子ちゃんも赤い……矢印……!


「赤じゃない。なんでだ……?」


 藍子ちゃんは俺の肩に手を乗せた。


「見ーつけた」


 宣言した藍子ちゃんは不敵に笑い、陽炎に溶けるように姿を消した。


 カバンの中の花を確認する。


 青い花は、残り三本になっていた。

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