第7話我ら親衛隊

「これはまずいことになったな…。おい、これから緊急会議だ‼おまえに紹介したいやつもいるからついてこい‼」


約30分後。会議室と称した彼の部屋には俺も合わせて4人の部下達が集まった。


王子が大げさな仕草で手を差し伸べると、髪が青く目付きの鋭い男が一歩前に出た。じっと俺の方を見つめながら、


「私はルーアン王子の親衛隊のエルバルドです。よろしくお願いいたします。」


と自己紹介した。続いて優しげな笑みを浮かべたピンクの髪のやつが一歩前にでて、お辞儀をし、


「僕はカサン。よろしくね。」


とさらにその笑みを深くした。最後の一人は俺のよく知っている人物のケンであった。


「へへっ。驚いた?これからもよろしくね。」


彼は俺の驚いた顔を見て、いたずらが成功したときみたいな顔をこちらに向けた。王子の顔を見ると、おまえもだ、とでも言うように顎を上げた。少し息を吐き、


「俺はロイスといいます。いつか王子を倒します。よろしくお願いします。」


と言って、深々と頭を下げてから顔を上げると三人とも呆気にとられた顔でこちらを見ていた。暫くの沈黙ののち、カサンがぷっと吹き出し俺の肩に手を置きながらおかしそうに眉を上げて、


「ルアンのこと倒すって本気?っはは、おもしろいねーー‼」


と言って王子に目を遣りながら、


「気に入っちゃったんだ?」


とまたおかしそうに笑った。すると王子もくくっと笑って、


「面白いだろ?」


と返した。


「これ以上心配ごとを増やさないでください」


とエルバルドが眉間のシワを深くする。


「諦めなよ、ルアンの悪い癖は直んないんだからさ」


「そうですよ」


カサン、ケンがそう続けた。カサンはふと思い付いたように手を打って、


「これから君は僕たちの仲間になるわけだけども、君がどれくらいの剣の腕前なのか気になるなー。二人ちょっと戦ってみてよ」


と言った。ただこの話し合いに参加しただけで仲間なんて大袈裟だし、見世物みたいに試合をするのは好まなかったため、断ろうと思い口を開こうとすると、王子は愉快そうに笑って


「こいつじゃ相手になんねぇよ」


と挑発してくる。挑発だとわかっていても、食いつかずにはいられない俺は


「やってみないとわかりませんよ?」


と返し、王子を睨み付けた。焚き付けた張本人のカサンは面白いものを見るかのような目を俺たちに向けて、じゃあ、30分後に庭でねと言って部屋を出ていった。


こうして俺と王子は宮廷の庭で試合をすることとなった。俺はお城の支給品である軍服に身を通し、支度を終え庭へ行くと、既に支度と人払いを済ませた4人が俺を待っていた。


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