第3話
「な、何だよ、僕がこの世界の『作者』で、小説を書き換えることで世界を意のままにできるって?」
そんな僕の至極当然なる疑問の言葉を受けて、更に滔々と語り始める白いワンピース姿の少女。
「『夢の主体』たる
「僕のシンクロの仕方が、独特って……」
「先に言ったように、
……何だよそれ。つまりこの広い世界において僕だけが、けしてどんな異能も得る可能性がまったくない、出来損ないとでも言うのか?
「何だかやけにがっかりしているようだけど、さっきから私はこう言っているのよ? 『あなたはけして量子コンピュータにはなれない、なぜならあなたは、実際に存在するとしたら量子コンピュータ同様に真の「全知」なる存在であろう、
なっ⁉
「言うなればこれぞまさしく、あなたこそがこの世界の『作者』とも呼び得る存在だということなのよ」
「ちょっと、何だよ! 僕が神様すら超越しているとか、全能なる存在とかって⁉」
おいおい。ひょっとしてこいつって、中二病でも患っているんじゃないのか?
「例えばね、
「……いやだから、いくら夢から覚めようが『まったく同一の自分』であり続けることが、どうして現実世界と小説の世界とを多重的にシンクロさせたりすることに繋がるんだ?」
「一番確実なのは私が『メア』として実際にやったように、あなたに夢を見せてそれを小説にさせて、『現実=夢=小説』という連鎖関係を構築することなんだけど、最低限必要なことは、あなたに以前からネット上の短編連作型小説『
なっ。僕が自分を主観にして現実の出来事をそっくりそのまましたためた小説を創るだけで、今まさに自分自身こそが世界を生み出していることになって、しかもただ単にその小説の記述を書き換えたり書き加えたりするだけで、この現実世界を現在過去未来にわたって思いのままにできるようになるだって⁉
思わぬ事実の発覚に完全に言葉を失う僕に対し、更に驚くべき言葉を紡いでいく、自称『僕の妹』。
「このように、実は『作者』だからこそあなたは、夢として見せられた【ステージ2】から【ステージ40】を小説化することで、あくまでも当人たちにとっての現実世界にできたの。そしてそれはこの世界についても同様なのであって、教え子であった『麟』を義理の妹の『りん』に書き換えることによって、いつでもどこでも他人の目なぞはばからずいちゃいちゃできるようにしたことも、お気に入りの生徒をいじめ抜いて自殺未遂に追い込み担任だった自分自身すらも窮地に追いやった、三十九人の教え子たちを昏睡化させたことも、すべてがあなた自身が望み、世界を書き換えることによって実現したことだったのよ」
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