8
突然の命令に
生き残っている兵士らが戸惑いの目線を交差させ、イミアとレヴェーネを見る。
「ちょっと待ってくださいお
「とらえる必要なんてないわあなたッ!! この子にそんな力が残っていると思――」
「今の男は
低く淡々とした、それでいて芯のある声と目がイミアに飛ぶ。
イミアは一瞬止まりながらも、その言葉に
「……その通り、ですわ。――こんな馬鹿みたいなこと、自分で言いたくはないのですが――皆さんも見ましたでしょう?」
イミアが周囲に視線を送る。
誰もが真正面から、イミアの目を見ることができていなかった。
「……何を見たんだ? リリスティア」
「え、あ――大丈夫? アマセ君…………さっきね。いきなり起き上がったの。あそこで倒れてる敵」
「な――」
――思わずバンターの名を口走りそうなのを寸前で
いつの間にか――奴の顔は無くなっており、俺を捕らえるよう命じた
「……単に、まだ死んでなかったというだけの話じゃないのか? イミア」
「……いいえ、確実に死んでいましたわ。どんな魔法も魔術も、消えた命を吹き返すことなど出来ません。絶対に……」
……そこで、やっと気付いた。
俺を見るイミアの目が――
「リリスティア。俺は何かおかしなことを言ってるか?」
「え。いや、」
「ケイ・アマセ」
ナイセスト・ティアルバーが俺に話しかけてきた。
「お前……なんともないのか? あれだけ
「…………え?」
――――見えない左目が、
そこで初めて、自分が
「陛下。時間をかけている暇はない。やはりこの小僧――」
「捕らえる必要ないわ。むしろそんなことをしてる暇はない」
『!』
この場で初めて聞く声に、再び破壊された城門付近へ視線が集中する。
現れたのはプレジアの
彼女に遅れて、幾人かのアルクスが姿を現す。
「――パーチェ」
「リコリス先生」
「パーチェ先生っ」
「――誰だ?」
「プレジアの
「きき危険はないのか?」
「ええ。この子の命以外には――これは『痛みの呪い』の症状です。以後その子の病状は
「やけに詳しいな。何故『呪い』について知ってる?」
「っ――」
――ジレイ・ディノバーツが、俺に歩み寄ってくるリセルの進路を塞ぐように立った。
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