昂留――――その背中を押したのは
――――その拳から
ヴィエルナを除くファレンガスら四人は、残らずその透明な「何か」に貫かれ――――ファレンガスの
空圧のような――しかし気の
あれであいつはフェイリー・レットラッシュの技を破り、彼をただの肉片に変えた――――
「でぃぁぁあああア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッぅぇあ」
「か、ふっ……くぁああッ――――」
イミアが口から幾筋も血を
バンターが闇をイミアに食らわせた。
「――――し、まッ……」
イミアの両手から放たれ切る前にバンターの両手によって
バンターは両腕を焼く
そしてバンターが両腕を腰元に引き付け、
『魔術師『イミア様』長ォォッッ!!!』
――文字通り「肉壁」となった王宮魔術師らとペルド、イミアを、
「………………………………」
――その間。
俺にできたのは、どの戦闘にも加勢しようと
俺が行動を起こそうと体に信号を送った時には、加勢しても仕方が無いほどに戦況が傾いてしまう。
誰一人援護できず、皆ガイツと同じく城外へ吹き飛ばされていった。
気付けばもう、城内で立っているのは。
「……
「……っ」
なんとか「遠当て」を逃れたヴィエルナと、それを支えるリリスティア。
「・・・・・・・」
「……殿下。どうか気を確かに」
「…………」
ココウェルを守る様に立つシャノリアと、もはや気力で立っているだけのマリスタ。
そして俺。
たった六人。
敵は、たった一人。
「…………」
俺達の疲労を見て取ったか、シャノリアがマリスタの、バンターの前へ出る。
マリスタは手をシャノリアの肩に置き制止、しかしその動きで膝が崩れ落ち、シャノリアに寄りかかるようにして地に膝を着く。
――――違う。
シャノリアも疲労している。
バジラノとの戦闘も経ている。
そしてこれまでどれだけの人間を治療した?
底を尽いていないにしろ、消費した魔力が相当量であることは解り切ってるじゃないか。
だというのに、何故お前は前に出ないんだ?
〝バンター〟
〝けいにーちゃん〟
――――怖いのか、
バンターが怖いのはもう知っている。
死の恐怖も味わった。
実力がかけにかけ離れた「本物」と戦うのが怖いのも知った。
だがそれらは俺の望むところでもある。
だから己を己で奮い立たせるだけで片は付く。
でも、
あんなものを見せられては
あんなものを、
〝ぼくは、かぞくをっ、――――いもうとを守ることさえできないッッ――――!〟
見せられたら、俺は戦えない
「失望したぞ。ケイ・アマセ」
「づガッっ!!?」
『!!!』
――――稲妻のような闇が、呼吸を整えていたバンターの首根に直撃する。
それがアルクスのローブであることに気付いたのは――特徴的な髪から、
――自然と。
自然と背筋が伸びるような、体幹に力がこもるような――頬の肉が持ち上がって目が細まったような、そんな気がした。
「……『呪い』か?」
「!」
「俺と
「……ハ。俺を
「そうか。なら俺に従え」
「あ?」
「貴様の
「…………フツーに言えよ」
「俺が奴を倒す」
――
ナイセスト・ティアルバーと、並び立つ。
「援護してみせろ。ケイ・アマセ」
「――倒してみせろ、ナイセスト・ティアルバー!」
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