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 メテアと呼ばれた女性アルクスの背後からアティラス。

 ガイツは彼と目を合わせ、うなずいた。



魔法まほう物理ぶつり障壁しょうへきには、生命体が展開している限り『三十秒の制約』がある」

「展開十五秒、のち十五秒のインターバルだな」

「だがあのガラクタはその制約に縛られている様子はない。つまり機体そのものに障壁が展開できる加工がされているということだ。城やヘヴンゼル学園のように」

「なら必ずあるはずだな兵士長。障壁の魔力源・展開源となる――――唯一障壁に守られない・・・・・・・・・・魔石が、あの体のどこかに」

「……しらみつぶしの攻撃で、やっと見つけたわけだ。後はそこを叩くだけ」

「私が全員に連絡をする――最後まで戦うぞ、兵士長」

「無論だ」



 アティラスがガイツへの追撃を避けるため別の場所へ飛び――かなめの御声ネベンス・ポートを展開する。



『手短に話す、皆聞け!――兵士長からの伝言は二点、「敵の障壁魔石しょうへきませきを探して」、「弾き返せない位置から大火力を撃ち込め」! 以上だ!』

『『了解!!』』

『俺が感知する! 一度ひそむ、陽動ようどう頼む!』

『大火力は任せろ、ドでけェのブチこんでやる!!』



 伝わりやすい形に意訳いやくされたアティラスの指示に的確に応ずるアルクス。

 かなめの御声ネベンス・ポートの向こうからとどろく音割れ。

 一部のアルクスを襲った「ディオデラ」がもはや更地さらちと化しつつある地面を拳でえぐり返し、更なる土ぼこりを巻き上げる。



(陽動……今の俺にできること!)



『陽動には私が出る! 足の速い者があと一人続け!』



 青きよろいを陽光に光らせ、無銘むめいつるぎ手に騎士が煙を突き破る。



「そこかァっ!」



 背後に振り回される「ディオデラ」の手。

 巨体に似つかわない速度で振り抜かれた腕をアティラスは上空への瞬転空アラピドで回避、次いで瞬時に――瞬転空アラピドでその腕の上に着地する。



(巨体の癖にこの速度、一体どうなって――)はあッ!!」

「ちょこざいなァっ!!」



 巨兵の腕が一瞬動きを止める。



 内部構造がき出しの肘窩ちゅうか部に瞬転ラピドで鋭い一突きを見舞ったアティラス。

それを蚊を叩き潰すごとく打ち付ける「ディオデラ」。

 アティラスは既にそこを瞬転ラピドで離脱、上空から先の突きの結果を確かめる。

 「ディオデラ」の肘窩ちゅうかには傷一つなかった。



(俺の一撃では障壁は破れたことがない……妥当な結果だろう。だが今のは――)――試してみるかっ」

「ちいいぃぃっっ!!」



 無造作に振るわれる巨大な拳の連打を細かな連続瞬転ラピドで躱し、「ディオデラ」の背後足元に至るアティラス。



(クソガキがッ、ちょこまかと――――んん?)



 「ディオデラ」より先に振り返り、背後のアティラスを視認するノジオス。



 その手から、剣が消えていた・・・・・・・



(奴め、得物をどこへ――――ッ!!?)

「これなら――」



 数瞬後、アティラスが手にしていたのは。



「――どうだッッ!!」



 「ディオデラ」の体節たいせつほどもある、巨大な鉄のハンマー



「貴様どこからそんな――!?」

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