10
「俺とお前の戦いの約束。まだ有効だってことでいいんだよな」
「あらら、僕の世間話は一切無視ってワケ? ムカつくなぁ、ホント約束
「お互い様だろ」
「まあね。人間は結局、自分が許容できるペースでしか会話が出来ないできそこないだから」
「ゼタンのような口振りだな」
「少なくともそこには共感してるって話さ」
「で、どうなんだ?」
「――まだいいよ。でもねえ、なんていうのかな。ノらないんだよね、今度は僕の方が」
「お前の都合なんぞ知らん。約束が有効なら今回も果たしてもらうまでだ」
「なんていうのかな……二日目の朝から今まで、君はアルクスに捕まってロクに動けなかったでしょ。んで、以降は今が初のシャバだ」
「何が言いたい」
「んー、そうだね。回りくどいのも
「…………」
「それどうにかしないと、天地がひっくり返っても僕をどうこうするなんて出来ないし、
「
「え?」
「要件は終わりか? なら行く。
「そりゃ解ってるけどさ。え、ちょっと待ってよ」
「なんだ。まだ何かあるのか」
「いやいや、僕の質問に答えてくれよ。諦めるの? 諦めてないの?」
「同じことを言わせるなよ面倒な。言ったろうが、『あの約束はまだ有効か』って。それで推し
「…………へえ。それは考え無しの玉砕大突撃とは違うんだよね? もちろん」
「もう言わん。勝手に思い悩め」
「対策が」
ギリートの声が俺のそれを
「…………出来たってこと? 『痛みの呪い』を
「…………」
――真顔のギリートを見たのは、これが初めてかもしれない。
それら
そんな顔に、俺はどこか興が乗ってしまって。
〝お前は魔王になるんだ、圭〟
久方ぶりに、
「――――まあ見てろ。俺の剣が、お前の期待を大きく外れて
――――ギリートの顔が
それと同時に、視界が暗闇に包まれ始めた。
開演のブザーが鳴り始め、大観衆の
こんな
だがそれも当然。
少なくとも、
俺が今最優先に考えるべきはただ一つ、ギリートとの
今、俺が入るべき
だから、願わくば。
「……上手く
暗闇の中、目を閉じて空気を吸い込む。
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