第53話 連鎖する導火線
1
「委員長候補が見つかったのか? 何なんだ、改まって」
書類の処分を止め、グレーローブの
その声が途切れた時には、三人の緊張はこれまでにないほど高まっていた。
たまらず、ビージが目を閉じる。
確証はない。
保証もない。
そのくせリスクは途方無く、大きい。
ただ、
「大丈夫だビージ。きっと君は間違ってない」
ただ――――絶望的だった未来に、可能性が生まれるのは確実で。
彼らは、そこに全てを
チェニクの声にうなずき、ビージがペルドに視線を戻す。
「……話があんだ。ペルド、オメーに。風紀委員全員に」
◆ ◆
その範囲内に
移動中、転移の対象となった物理存在はこの世界とは異なる
つまり、
であれば、「この異世界」と「俺の世界」という二つの位相空間を
〝
――
世界と世界を繋ぐ転移魔法。
だとすれば、その力場を形成する魔動石があったはずだ。
リセルが隠し持っていたのだろうか。そんな素振りはなかったように記憶しているが。
いや、むしろあいつなら大いに在り得る話なのか。なにしろ――――
――――
今考えるべきはそんなことではなく――――
「何を熱心に読みふけっているかと思えば、そんなものか」
「!」
書籍から顔を上げ、聞き慣れない声の主を見る。
小さな
「……案外兵士長というのも
「更なる
「これ以上悪くはなり得んだろ。昨日の
「不快な
「余計な気を払いたくないだけだ」
「それで友人の多いワケが解らんな」
「要件は何だ? 読書物の
「人聞きの悪いことを言うな。違法な
「検閲の上に
「……チッ。貴様特別態度悪いだろ私に」
「自室に
「あれはただの魔術だ解った上で皮肉るな」
「さてね」
「ふん……ま、読み物がそんなものなら、ここに来る意味も無かったな」
ペトラが俺の手元を見下す。
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