20
「私にはカリスマなんてない。頭もよくないし力だってない。皆が私の言葉を聞かないのも当然だよ、だって私は……これまでプレジアで過ごしてきた十一年、ずっとヘラヘラフラフラ過ごしてただけだもん。それは今だってそう。ケイの後ろをただくっついて、マネして、それで……いっぱしに『
息を大きく吸い胸を膨らませ、マリスタが皆を見る。
「追いかける背中に、自分の
「『正義ごっこ』ならヨソでやって欲しいのだわよウザったいッ!!」
「シータッ」
「しーた!」
「シータ、
「
「……うん、そうだよね。だから、行ってきます」
「ま――マリスタ?」
虚を突かれたナタリーが、出入り口に向かうマリスタから数歩遅れて付いていく。
マリスタはそれを笑顔で制した。
「ナタリー。後で相談したいことがあるの。戻ってくるから、このへんで待っててくれる?」
「え……ええ、」
「今すぐこの場で相談してもいいのだわよッ! どこ行くか言わないし、どうせこれから考えるのでしょっ」
「シータ、」
「――学長代理さんのところ」
「――え」
ナタリーが顔色を変える。
しかし彼女が口を開く前に、マリスタはぐるりと振り向いた。
「
『………………』
…………皆、あっけにとられた顔でその言葉と対面する。
放ったマリスタ自身も現実感のない様子だ。
だが、それでもよかった。
それは
眠った人々を叩き起こす、言葉とは名ばかり、形ばかりの衝撃。
そして
「……考え続けて、皆。みんなで力を合わせればきっと、ううん、絶対乗り越えられる! この劇だって完成したんだから!」
言って、演習スペースを出る。
出てすぐ見えたパールゥの浮かない顔にも、笑顔で
マリスタは、
『………………』
――静まり返ったスペース。
その中に、投じられた一石の
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