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「今先生は、『アルクスと結託して』と言われましたけど。ホントに結託してるんですか?あのクソ失礼な態度からすると万に一つの可能性ですけど、彼らが学長代理の言いなりになってるだけの可能性もあるんじゃないですか。元々アルクスは、理事長二人が動かしていたような者なんでしょ?」

「そ……そうなんですか?」



 マリスタが目を丸くして口を出す。

 幾人いくにんかは白い目を向けたが、アドリーは笑って答えた。



「アルテアスさん。アルクスは、一体どういう集団ですか?」

「え? あ、アルクスは……義勇兵ぎゆうへいの集団です!」

「ふふふ。よく勉強していますね。二点です」

「何点満点のですか?!?!?」

「アルクスとは、『盾の義勇兵』だのなんだのとプレジア内では持てはやされていますが……色眼鏡いろめがねを外して冷静に見てみれば、何のことは無い。ただの傭兵ようへい集団しゅうだんでもあるのです」

「でも、アルクスは……その、そういう呼び方を一番嫌います、よね」



 おずおずとエリダ。

 アドリーはうなずいて続ける。



「ええ。ですが対外的には、ただの傭兵にしか見えない。理念や信念はあれど、やっていることは傭兵と大差ありませんから。プレジア内外からの依頼を受け、様々なスキルを必要とする任務を遂行すいこうし、そして報酬を受け取る。その多額な報酬がアルクスの給金きゅうきんとなり、ここプレジア魔法まほう魔術まじゅつ学校の運営資金となる。無償で受けることのできる様々なサービスは、そこが元手になっているのです」

「そ、そりゃ普通に傭兵……ですね」

「その通り。で、最初の話に戻るのですが。アルテアスさん、『理事長』とはどんな存在ですか?」

「へ???………………え???」

「はは。百点ですね」

「明らかにその前に『マイナス』って言葉がついてますよねそれ??????」

「まあ、気にすることはありません。実際、理事長と学長の違いが分からない人は、この中にもいるはずですから――――ざっくりと言えば、学長は学校『教育』のトップ。そして理事長は、学校『経営』のトップ。と言えばわかるでしょうか?」

「……あー。あー」

(マリスタが退化してる……かわいい)

「もっと簡単に言うなら、プレジアを育てるのが理事長。プレジアの先生や生徒を育てるのが学長。ってことです。では、マリスタ。プレジアのほこる義勇兵アルクスの、稼いだお金を管理するのは、一体誰でしょう?」

「え……えっと、お、お金のことなんだから…………あ、」

「そうです、ま、正しく言えば事務員なのですが。アルクスの報酬、すなわちプレジアの運営資金の使い道を最終的に決めるのは理事長です。そうした取り決めは、このプレジアが創設された二十年前から、ずっと続いているのですよ」

「な、なるほど」

「……まあ。それも多少行き過ぎ、学校長と理事長との溝を深めていたきらいもありますがね」

「あのー」



 再びギリートが手をあげる。

 アドリーは無言で応じた。



「結局、先生は何が言いたいんですかね?」

「というと?」

「『アルクスは理事長の言いなりじゃないのか』って、僕は質問したんですけど。つまり先生のおっしゃったことをまとめると、アルクスは理事長の言いなり、ってことでよろしいんです?」

「やあ、これは話が長くてすみません。その質問への答えは『いいえ』です」

「へー。そうですか」

「や、ちょ……へーじゃなくてですね、イグニトリオさんッ」

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