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ナタリーが目を
シャノリアは彼女を見ずに
「さすがに、父さんの――――ダンセル・ディノバーツのことは知ってるのね」
「知らない人の方が少ないでしょう。過去のリシディアに
「うん。そうしてものすごく忙しいはずなのに、ちゃんと家族も大事にしてくれて……
「……直接の死因などは?」
「詳しくは覚えてないし、たぶん聞いてないんだと思うけど。戦死だって言ってたくらいだから、戦場でやられちゃったん……だろうと……」
「…………でしょう?『当代最強と言われた
「う、うん……でも、それだって暴論には変わりないわ。戦死じゃない
「ええ、ですがどれも一方的に出された証拠ばかりです。私は自分で、この世界の正体を明らかにしたい」
「正体、ねぇ……」
「ちなみに聞くのですが。お姉さんの死因は、なんだったのですか?」
「え?」
シャノリアが動きを止める。
ナタリーはすぐに眉をひそめた。
「聞いていないのですか?」
「ああ、いえ。
「戦火に巻き込まれるような場所に居たのですか――――と聞きたい所ですが、無駄な質問ですかね。
「……先生?」
ごく近い、ナタリーの声。
それが、耳に入らない程――シャノリアは、意識を自身の内へ
(姉さんは――戦火の中で死んだ。それは分かってる。でも、どうして――)
〝お父上――ダンセル・ディノバーツ様は、此度の戦乱の中で戦死なされました〟
その知らせも。
知らせた声も、その顔も。
その時の感情も、はっきりと覚えている。
その声が憎らしくて
だからこそ。
(どうして私は――姉の死を知らせた人のことを、こんなに思い出せないんだろう?)
――――心臓が、打たれた。
◆ ◆
「づ゛ぁっっっっ!!!!」
…………脳に、直接スタンガンを当てられたかのような。
例えるならそんな衝撃が、頭と
きっとそれも幻覚の一種だ。
だがそれでも、呪いに
針穴に糸を通すようにしていた呼吸が一気に乱れ、
「! おい、大丈夫か。意識あっか、返事しろアマセ!」
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