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「だってそうでしょ? ウチでも病気して、魔法でも治療が難しいってなった兵士とかって退役たいえきとかですぐいなくなっちゃうし。使えない兵士ってイジメにあうんだってさ。いつまでもタラタラ城に残ってると」

「……そうなのですか」

「そりゃそうでしょ。ロクに戦えもしないくせに未練みれんがましく居座って、飯と給金きゅうきんだけかすめる穀潰ごくつぶし。さっさと消えて欲しいに決まってるわ、わたしが考えたってわかるのに。ねえ、穀潰し・・・?」

「…………」

「しかもお前が居る場所は、ウチらより数段も民度みんどが低いっていうクソのめプレジア。偏見まみれのプレジア貴族どもの、しかも兵士コースにいて、それで戦えませんーなんて。想像しただけでもキツいわ、うっわ。あんたもしかしてさあ、ひっどいイジメにでもあってるんじゃないの? 今まさに!」



 …………出涸でがらしにしてはするどいな、こいつ。話の筋は見えないが。

 その通り、今考えてもかわいた笑いが出るほどの、手酷てひどいイジメにっていた。



〝いけ――――ッ!!! ケイ・アマセ――――――ッッ!!!!〟



 ――以前は。



「おい!! だからなんで黙んのよそこでッ!」

「……いえ」

「フヌケが、ほんとボーっとして……あ、忘れてた。で病名は何なのよ」

「…………」

「わたしは一国の王女よ? 態度次第では、あんたのチンケな病気くらい、治せる医者を紹介してやらんことも――」

「いいえ。明かせません」

「――なによ今わたしまだ話してる途中だったろ!!」

非礼ひれいびます。ですがココウェル――俺の病は、今尚いまなお治療法の見つかっていない難病なのです」

「えっ――」



 さしものココウェルもこの言葉にはきょを突かれたようで、当惑とうわくの表情で言葉を詰まらせる。



「そして、どうやらこの病の情報はまだ、国を挙げて秘匿ひとくされるべき段階にあるようなのです。罹患りかんしている者達の不安をいたずらあおってしまわない為に」

「と――父様とうさまの命令で秘密になってるってこと?」



 父様、ときたか。

 こんな暗愚あんぐでも、肉親への情はしっかりあるようで安心した。



「そうです。ですからお父上――国王様の御意向ごいこう沿う為にも、いかなその御息女ごそくじょであられるココウェルの求めであろうと、病名や病の仔細しさいをお伝えするわけにはいかないのです。どうか御理解ごりかいを」

「ふ――ふーんっ。そこまでの事情なら、わたしとて引き下がるしかないわね」

「ありがとうございます」

「でも、それじゃお前は、プレジアでは偏頭痛へんずつう持ちの役立たずってこと? かわいそうね~あんたってほんとに。だから友だちもいないんでしょ?」

「友達?」

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