第2章 プレジア大魔法祭
第27話 あたらしいせかい――彼ら、と俺
1
風。
「――――」
開けた青空。
どこまでも
そして風と共に天へ舞う、
その桃色の花びらを、俺はよく知っていた。
「兄さん」
妹――――
「――――――、」
よく着せられている、
そこから伸びる、いやに
愛依は愛依のままだ。
なのに、
俺は――――どうに
ね死ね死ね死ね死ね死
死ね死ね死ね死ね死ね死ね死
も、彼女が怖い。
馬鹿な、妹だぞ。
そう分かってはいるのに、
それはまるで――近所の犬に近付けない子どものように。
「兄さんは悪夢を見たの。怖かったよね」
悪夢?
「うん。すごく怖い夢……そこにはニセモノの私が、出てきてたから。だから兄さんは、私が少しだけ、怖いの」
そっか。
ごめんな、愛依。意気地なしの
「そんなことないよ。兄さんは……いつでも私を守ってくれた。どんなに
愛依が俺の手に触れる。
その温かさと、柔らかさにひどく
「動かないで」
いや、これは
大丈夫だ、俺は……自分で立てるから。
「そうだね。でも、立てるだけだよ」
え?
「兄さんはすごく頑張った。だから、今はまだ立つことしか出来ないくらい、弱っているの。でも安心して」
愛依が俺の手を優しく
「これからは、私がいつも一緒だから。――兄さんはすごくがんばった。だから今は、何も気にしなくていいんだよ。今はただ目を閉じて。深く呼吸して。兄さん」
これからいつも一緒?
バカだな、愛依は。
これまでだって、俺とお前はいつも一緒だったのに。
でも、そうだな。
確かに、今はまだ少しだけ――眠いかもしれない。
「おやすみ」
お言葉に甘えて……
「おやすみ」
心地よい風に吹かれながら。
温かく柔らかい
「――おやすみ。兄さん」
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