5
◆ ◆
視線が外れる。
肌で感じるほど
早まる
呼吸を再開する
俺はようやく、自分が安全な場所で生きていることを実感した。
「……
なんて
それ
ほんの
果たして、あの赤髪の男でもこんなに殺気立った魔波を放っていただろうか。
「ナイセスト・ティアルバー……」
目を閉じ、深く呼吸する。
家族を奪ったあの爆発以来だ。こんなにも、何かを恐怖するのは。
だけど、それでも俺は小さく笑う。
恐怖を感じない
ただ、俺は――
「第四試合始めんぞ。早く中に入れ、ベージュローブ」
「はい!」
ベージュローブの少年が、意気込み十分にスペースへ入る。
それを迎えるのは、
〝――――手合わせ。してくれる? ケイ・アマセ君〟
グレーローブの下に、動きやすさを重視した
例えばその圧倒的な強さに、地面から彼女を
俺もいつか、こんな力が欲しいと求めて。
相手を討ち倒しても
「そんじゃ第四試合、」
何度挑んでも何度勝っても、奴はただ
「義勇兵コース、グレーローブ。ヴィエルナ・キース。いくよ」
決まってあの
「始めろ」
二人が
「!? ぁ――――」
同時に、ヴィエルナはベージュローブの背後を取っていた。
あの動きだ。
「くっ、う……うぁっ!!」
音も無い
ビージ・バディルオンとの戦いで用いた戦法は、ヴィエルナの動きから
「くそっ!」
ベージュローブの少年が、何とか
だがその距離は、ほぼほぼ
「ぐあッ――!?」
闇雲に突き出された右腕。それを左手で
回転の要領で両腕を時計周りに動かすと――――少年の体が彼女の背後に大きく
その場で小さく跳び、二ステップ目で
当然、少年が振り返った地面にヴィエルナの姿は無い。
「!?――――が、ぁっ……!?」
……というかあれ、
サラッとエグい攻撃を……。
……だが、見事だ。
蹴り上げた足の勢いをそのままに更に数回後転し、危なげなく着地するヴィエルナ。
少し体を
会場を、場違いな温かい空気が包んだ。
「そこは
さっきの殺人的一撃はなんだったのか。
「かかったな!」
少年が素早く体を
ヴィエルナは表情を変えずに小さく体を振り、
「く……そ……っ!」
少年が
同時に手を横に
――弾丸が少年の視界を
「ッ――
少年も
背後のヴィエルナが
屈んだ姿勢からスラリと細い足が伸び、少年の足を
「っ、っ??!」
足を払われた少年が背後に
非常にゆっくりと感じられた少年の動き。
その一動作の間に、ヴィエルナは足を刈ったまま一回転。
足払いを支えた片足で小さく
「ごボッ!??」
――倒れるベージュローブの
吹き飛ぶ少年。
ヴィエルナは先と打って変わり
「終わり」
「――とんでもないな、やはり」
笑みも
これほどまでに鮮やかな
「――――…………ぁ、」
少年が、今度こそ地に
心なしか、高みから見下ろす銀髪のアルクスが笑っているように見えた。
「――ジム・リオス戦闘不能。勝者、ヴィエルナ・キース」
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