02
人間はそう遠くない未来絶滅してしまうだろう。
私は永遠なんてものは信じていない。
生あるものはいつか必ず滅びる。
滅びない生命など、生命とは呼べないはずだ。
その理は覆してはならないものの一つだと、私は思っている。
けれど、だからといって、座して滅びを待つだけの存在ではいられないだろう。
命を持つ私達は、永遠の生は否定できても、愛し合うものと生きるたかだか数十年の幸福な生を、否定できるようには作られていなかったのだから。
人類存続計画。
私が何年も前に立ち上げた計画であるが、大層な名前とは裏腹に実際は大した事がない。
人類存続の会。
これも上に同じ。活動も以下同文である。
私は、貴方達に未来を託す。
平和と裕福を空気の様に当たり前に享受しながら、私達は今日も怠惰に日常に飽きて過ごしている。
人類存続計画?
人類存続の会。
我ながらダサい名前である。
急ごしらえ感、適当感が半端がないだろう。
それもそのはずだ。
何せ、つい数日前に思い付いたばかりなのだから。
だが、そんなダサい名が、今の私達の集まりにつけたものだった。
「だーかーらぁっ、魔王になって人間を支配しちゃえば解決っしょ」「ぬぁに馬鹿な事言ってんのよ。人類なんて皆抹殺しちゃえばいいじゃない。
私達が未来から届けられた(らしき)手紙を理由に、大仰な計画を立ちげ、会を発足したのはつい先日。
どうせ誰かの悪戯なのだろうが、退屈していた所に来たので、仲間達はつい飛びついてしまった。
私達は、退屈な日常に飛び込んできた手紙という不審物質を刺激に、ニンジンをぶら下げられた馬のようになって、あるかどうかも分からないゴールを目指し、コースを走り始めていた。
それが後に世界の行く末を左右する事になろうとは、まったく思いもせずに、だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます