『堕ちる。』

『最近なにやってるの?』


そう言われたオレの目は、今日も天井を眺めている。


『ニートしてるよ。』


自嘲にすらならない事実だけ返して、スマホを放り投げる。


『大丈夫?』


わかりきった質問に目すら通さずに、今日もひとり惰眠を貪る。


エアコンは今日も26度を保ち、ゆるゆると金と時間だけが消えていく。


必要以上の睡眠に腹は飢えを忘れ、寂しくて潰れそうになる心を疲弊させる。


凝り固まった眼球は夜からオレをはなしてくれない。


大丈夫。オレは生きている。死にたくても、死にたさを何かに使うことはない。


だから大丈夫。


異常なのは自分がよくわかっている。


だからもう、何も言わないでくれ。


救ってれないのなら、はじめからなにも。


オレは大丈夫だから。


だから置いてけよ。


捨て子みたいにさ。

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