『自殺理論』

 大空を見ると、飛びたくなる


 死にたいなんていったい誰に言えるのだろう

 ただ、負の感情の積み重ね、ストレス。ストレスストレス

 朝起きて、鏡を見ると醜い自分の顔が写る


 毎日落胆のため息を吐きながら、産毛を剃って顔を洗う

 お化粧をして、なんとか自分を消し殺す


 家を出れば、忙しなく通り行く人の視線が怖い

 目が合うたび寒気を憶え、心のなかで嘲笑う人の声

 自意識過剰、自画自賛、そうして心の中で嗤いながら、びくびくと学校へいき、

 夢想し、苦しんで、結局誰とも関わらない


 協調性の足らない自分に負い目引け目感じる劣等  浸り続けたプールにダイブ

 太りぎみの二の腕を掴んで、嫌悪感を押し殺す


 取り柄のない存在――空気、それ以下のなにか

 世間知らずの一人っ子、親の愛情ってなに


 抱く夢もなく希望泣く  抜け殻毎日繰り返し

 汚い掌翳し見て、がさがさの頬なぞって首絞める


 言葉に出来ない密かな願望 幸福の上に立つ無力な少女

 気付くことなく朽ち果てて、終らず誰かの心傷付ける

 正義ヅラの世界を眺めて、蔑んで引っ掻いて、後は他人行儀


 廃ビル階段突っ走って、屋上の扉をスキップする

 両手広げて見下げる世界、小さく見える人の影

 人間ちっぽけ、それに気付かず、狂った世界でもがく自身

 嫌気もなにも置いてきて、赤黒い肺に空気入れ

 走り幅跳びの原則使い、勢いままにローダウン

 小鳥のように翼広げる、抽象すぎる言葉の概念

 ぜんぶ、ぜんぶぜんぶ嫌になって 華火がぱっと咲きました


 ヒュー、ドンっ


 地面に咲いた罪の華、紅い火花を飛び散らし、最後に嗤う野次馬たち

 後には他に誰もいない

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