第7話


季節は冬の次でもうすぐ桜の咲く季節。


僕が、花屋さんでなるべく安価なのを購入した植え込みや庭の雑草ですら開花が著しい。


家族だけでも、花見でもしようか。


妻の体調が優れなければ家でのんびり過ごして貰おう。


良ければ、料理と言えば、だし巻きが得意な彼女は、簡単な御弁当ぐらいは用意をしてくれる。


卵料理は、料理の基本だよ!(鉄鍋のジャンRの大谷杯を参照。)


だし巻き1つでも、今から楽しみだ。


話は変わる。


学歴は以前にも書いたが、資格、仕事の話。


派遣元の会社からは、これだけの資格を持ってと期待をされる。


派遣先からは、必ず正社員の話がくる。


そうして、毎回、丁寧にお断りをする。


僕の場合は、特にストレスを溜めたくない。


営業の時の経験で極力、責任の伴う就業形態は嫌だからだ。


大体の雇用形態は派遣に落ち着くけども、バイトも掛け持つことも視野に入れてる。


最近は、共働きのがずっと増えてる。


だが、しんどくなって直ぐに辞めざるを得なくなる妻に期待ができない。


彼女は、わざわざ悪くいうと(日和のソードマスター大和から引用?)というか、言わずもがな寝坊助な方だった。


それが、寝る時間が異様に早いのもあるけども。


どんどん起きる時間が早くなった。


大体は、日照の前には起きる。


取り合えず、スマホを触ったり、起き上がれるぐらいに目が覚めると、パソコンに向かってる。


妻は、「すずめの鳴く声が聞こえると外が未だ暗くても、朝が来たんだなって安心する。」言ってた。


妻に言われるとそんな気がしてくる。


冬の間の、夜が恐かったんだろうなー。


以前書いた。ラベンダーのアロマ・オイルでハーブにハマって、通販や販売店で購入をするが、手入れが大変で大分ダメにしたらしい。


トマトも独特の虫の嫌う芳香があると近所のお婆ちゃんから聞いたらしい。


トマトぐらいならば、ほったらかしでも、夏場は水さえ枯らさなければ栽培は出来るらしい。


冬場は0度を下回ると枯れてしまう。


結婚当初のマンションは、立ち退く前の事。


ベランダの排水溝から勝手に草みたいなのが延びてきて、様子を見てたら黄色い花。


熟したらトマトだったなんてこともあった。


ママのメンタルが相当不安定な時だった。


うち大きめのしっかり熟したトマトを半分に切って、半分こにしてくれた。


僕が、パクりと口に放り込むと彼女は言った。


「此れが、私の来世の姿かも、、、。」


そういって、涙を流しながら大事そうに食べてた。


僕は、「?」だった。


「トマト。」とだけ答えて上げた。


彼女は、後に、未だ、悲しそうに、更には不安げに、来世の事を真剣に考えてしまってた。


彼女へ。「花は人を楽しませる使命でそこに咲くこともあるんだよ。」


少々、強引な仏教の基礎とも言える揶揄的、或いは比喩的な表現ではあるけども、教えてあげた。


彼女は、それを聞いて僕をじっと見て、真ん丸い目をした。


彼女の、後のメンタルは元気になってくれた。


「嫌な事は、一旦は忘れようね。」


最近は、そういうメンタルのアレルギーの耐性がついたのか?


トマトの種は採って、必ずプランター。


土の名前は、赤玉土やら腐葉土やらピートモスやら。僕は、英語を生かせる貿易事務にも従事してた。


なので「仕事でその書類を扱ってたから全部知ってるよ。」と返した。


せっかくネットで調べて好きが興じてこうなったんだけど、知らなかったでしょ?


用土の種類にも詳しくなったよ!えっへん!とばかりに自慢をするつもりだった、って不満そうにしてた。


彼女が、やたら植物に詳しくなったのも資質かな?


掲載雑誌は忘れたが、『蒼天航路』(王権太・キング・ゴンタ著)の劉備が農耕に勤しむ描写で、彼女にそれみたい!って、言ってみた。


彼女の反応は、それ漢(おとこ)じゃん。


云わんばかりだった。


僕は、宮崎駿派寄りもディズニー派(DVDの値段から)なのだが、全然観なかったわけではない。


『風の谷のナウシカ』キャラのヒロインみたいだなー。


楽しそうにハーブガーデン、家庭菜園を目指すママを見ながら、そういう事を考えてた。


言わずもがな。


僕は、ナウシカというヒロインが放映の当初からのお好みである。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る