『この紋章が目に入らぬか!!』 ――チートお嬢様とチート未来人とチート筋肉が異世界で時代劇風に無双するおはなし――
南木
突撃! 隣の悪代官!
あたり一面真っ暗闇の中、俺はじっと息を殺して「その時」を待っている。
右の耳に当てている筒から、見ることのできない壁の向こうの音を拾っているが、まだ大きな動きはないようだ。
「ねぇ、だれが一番『せいばい』できるか、競争しようよ」
「一番になったら何かくれるの?」
「ファラちゃんが一番だったら、ご飯好きなだけ食べさせてあげる!」
「わかった、がんばる」
「ふたりとも……もう少し静かに」
俺の頭の上らへんで、二人の女の子の話し声が聞こえたので、静かに素早く黙らせる。
バレることはまずないだろうと思うだろうけど、念には念をだ。それに、二人の声で中の様子が聞き取りにくくなってしまう。
…………正直、わざわざ隠れる必要ないんじゃないかなと、今更ながら思ったけど、これもヒーローの宿命と諦めておこう。
この場所を再び静寂が支配する。これで、向こう側の音も良く聴こえる。
「やめろぉ! アンナをはなせぇっ! ぐわぁっ!」
「いやあぁぁぁっ!! ジェイクーー!」
「ンムフハハハハハ! そろそろ観念したまえ、そうすれば命だけは取らないでおいてやるぞぃ!」
壁を隔ててかすかに聞こえてくるのは、男の弱々しい声と、女の悲鳴、それにおっさんの脂肪で潰れたような高笑い。どうやら若い男が女性を取り戻すためにここまでたどり着いたはいいが、捕まって見せしめにされているようだ。
もしお嬢様が聴いたなら即座に介入待ったなしだろうが、何事にもタイミングというのがある、今はまだその時じゃない。けれども、せめてあと五分以内に一連のやり取りを終えてもらわないと、後ろの二人の我慢が限界に達してしまう。
「あ、諦めるものか…………! 俺は……命を賭してでも、アンナを幸せにすると誓ったんだ!」
「ほぉう、まだわからんようだな。もっと痛めつけて、現実を思い知らせてやれ!」
「ふざけんなよこらぁっ!」
「なめてんじゃねっぞこらぁ!」
「ぐわぁっ!!」
ん~…………さすがにまずいか? 助けが遅くなって一般人が死んでしまったら、本末転倒だしな。
「待って! おねがい、もうやめて! 私のことは好きにしていいから……ジェイクを殺さないで!」
「ア……アンナ! そんな……」
お! いよいよか!
「ンムフハハハハハ! そうかそうか、ようやく我輩の物になると決めたかぁ! クフフフ、初めから素直に従っておけば、あの男が痛い思いをしなくて済んだものを! さぁ、さっそく可愛がってやろう。あ奴のことを忘れるほどになぁ!」
(お嬢様、そろそろ)
(ふん、長い三文芝居だったわね。まちくたびれたわ)
そろそろころあいと判断した俺は、小さな声で後ろの二人に合図をする。
(突入まで30秒…………)
「閣下、この男は如何なされますか?」
「ふん、そのあたりに適当に捨て置け。身ぐるみをすべて剥げば、後は自然が処理してくれるだろうよ」
(10……9……8……)
「おまえはこっちにこい、遠慮することはないぞ!」
「い、いやぁ……」
(5……4……3……2……1……)
「ンムフハハハハハ! これでこの女は我輩の物だぁ!」
(ゼロ!)
「状況開始っ!」
「ふんぬっ!」
ドンガラガッシャアアアァァァァァン!!
「きゃああぁぁぁぁっ!!??」
「うわっ!? な、ななな…………何事だ!」
合図とともに、目の前の壁が物凄い音を立てて崩れ落ちた。闇が晴れ、目の前に広がるのはキンキラケバケバの超豪華な部屋。
そして部屋の真ん中には、腰を抜かした人間が二人へたり込んでいる。
一人は、まるでボンレスハムに豪華な服を着せたかのような(ボンレスハムに失礼だったか)中年の男性。もう一人は、ドレスを着た十代半ばごろの女の子。まるで信じられないものを見たような表情で、俺たちのことを見てる。
まあ、驚くのも無理はないわな。俺たちは、この屋敷の人間すら知らない秘密の通路から壁をぶち抜いて入ってきたんだから。
それも、俺たち三人はその恰好からして異様だ。
真ん中にいる我らがお嬢様は、美しい金髪が映える真紅のドレスを着用。今から舞踏会に出れそうな豪勢な衣装である。
続いてお嬢様の右手に控えるのが、出るところが出て、引っ込むところが引っ込むダイナマイトバディの持ち主だが、身長が2メートル近くある大女。装備は、見えちゃいけないところを無造作に布で隠しているだけという開放的な衣装だ。
そしてこの俺は、白色の武者兜型合成素材性ヘルムをかぶり、白色の具足型強化繊維製防弾チョッキを装着した、この世界ではあまり見ないエキゾチックな見た目だ。
「そこまでよ、ヴランゲーリ伯爵! 権力を使ってやりたいほーだいしていたのを、この目でちゃーんと見ていたわ! みなごろしにしてあげる!」
「お嬢様、皆殺しじゃなくてお縄にするんですよ?」
「うるさいわね! どっちにしろコテンパンにやっつけるんだから同じよ!」
壁をぶち破って出てきた挙句に、家主に向かって皆殺し宣言をする物騒なお嬢様…………
本当なら、せめてもう少し威厳のある口上を賜りたいんだけどなぁ。
「権力を笠にした悪行三昧、私がこの目でしかと見届けた」みたいに。ま、いいや……代わりに俺がきちんということ言っておこう。
「伯爵、あんたのジャイアニズムは凄まじいっすねぇ。強引な税の取り立てに、人身売買。集めた金品を国に入れるのでしたらまだしも、半分は中央の高官に、もう半分は自分の懐に入れてしまうのだから恐れ入る。それでも飽き足らず、他人の想い人まで奪うとは、ああ、領主以下だな、これは、良くないと思うぜ」
俺的には、後10ダースほど罵詈雑言をぶちまけてやりたかったところだが、そのまえに相手がキレた。
「このっ!! 無礼者め!! 吾輩を誰だと思うておる! この事を皇帝陛下に具申すれば、貴様らはただでは済まんぞぉ!」
「ふぅん……だったら今すぐに、皇帝陛下にたすけてーって言ってみなさい! たすけにきてくれるかしら?」
「ええい! 衛兵、衛兵はおらぬか! 出会え出会ええぇぇぇぇっ!」
出会え出会えの言葉を聞いた瞬間、俺たち三人は目の色を変えた。
その目はきっと、未知なる絶叫アトラクションを見たかのように、輝いていただろう。
「くるわね!」
「くる」
「こいやぁ」
伯爵が出会えを口にして数秒もしないうちに、部屋の出入り口の扉が勢いよく開き、そこからまるで洪水のように武装した人間がわらわらとなだれ込んでくる。
兵士たちの装備はピンキリで、正規兵並みにいい装備をしている兵士もいれば、その辺のごろつきみたいな粗末な装備の奴もいる。
しかし、とにかく数が多い! 増える増える! どんどん増える! しまいには、50人くらい部屋の中に入ってきた。たぶん、部屋の外にはまだたくさんの敵がいるに違いない。グレイト! 数だけは多いぜ!
「ユカリ! アンナちゃんはだいじょうぶ?」
「うっす、すでに回収してあります!」
一方俺は、どさくさに紛れて保護対象の確保に成功した。アンナさんには人質にされると面倒なので、後ろに下がっていてもらう。
「よーし、ユカリ! ファラ! やっちゃいなさい!」
「わかった」
「存分に懲らしめてやります!」
「ええいかまわんっ! こやつらを切り捨ていっ!」
『ウラアアアアアァァァァァァァッ!!!!!!』
敵兵士たちは雄叫びをあげながら、俺たちめがけて一斉に襲いかかってきた。
統率も何もない、全力の突撃が迫ってくるのはなかなかの迫力で、普通の人だったら逃げ出したくなるんじゃないかな。
おっと、ぼさっとしている暇はない。なぜか集団の大半が俺めがけて殺到している気がするからな。
確かにこの三人の中では、どこからか取り出した豪勢な槍を振り回すお嬢様に、武器は持っていないが男ですら見上げるほどの巨人のファラと比べれば、へんてこな鎧を着て、両手に黒い筒みたいなものしか持っていない俺が、一番倒しやすそうに見えるんだろう。
でもねぇ、俺が持っている筒はただの筒じゃないんだぜ!
フゥォオオォン――――――
電気が流れるような奇妙な音と共に、俺の持っている二本の黒い筒の上の方から、青い光と赤い光が1メートルほどの長さに伸びた。
その見た目はまるで、光を発する剣のようだ。そう…………これこそが、俺の武器『
「そぉいっ!」
まず、上段に構えていた右手の光線刀を目の前の敵めがけて振り下ろす。振り下ろされた光線刀は、敵を構えていた武器ごと真っ二つにした。
続いて左手の光線刀で、一斉にかかってきた敵三人を纏めて横に薙ぎ払う。手ごたえは殆どない。まるで豆腐を切断したかのようだ。だが、敵の身体はしっかり斬られてるので安心してほしい。光線刀にかかれば、どんな硬い物質でも熱線で溶かし斬ってしまうんだぜ。
「な、なんだこいつは!」
「ウソだろ!? 人の体を簡単に真っ二つにしやがった!」
俺は舞うように剣を振り続け、数秒のうちに俺に群がってきた敵兵は縦か横に真っ二つになった。それを見てた他の奴らは、ようやく俺の武器の恐ろしさを知ったようで、顔を真っ青にしながら武器を構えて後ずさりする。
が、いまさら後悔したって遅いぜ、あんまりもたもたしていると敵の親玉に逃げられちまうから、悪いが道を空けてもらう。
「さあいくぜ雑魚ども! 今宵のレーザー村正(※俺が勝手に名付けた武器の名前)は血に飢えているからな! ふぅはぁっ!!」
敵が及び腰なのをいいことに、さらに踏み込んで敵の集団を滅多斬りにする。
たまに敵を武器ごと切り捨てた時に、斧や剣の破片が俺の体に当たるが、俺の着ている装備は超硬度の複合素材でできているから一切ダメージを受けることはない。
つまり、敵からの攻撃も全く気にする必要がない。たとえミサイルが直撃しても、無傷でいられるだろうよ。
「せいっ!」
右手の光線刀が立派な鎧をまとった兵士をから竹割にする。
「そりゃあっ!」
左手の光線刀が目の前の敵を、その後ろにいた敵ごと串刺しにする。
俺が暴れている一方で、相棒の大女……ファラも台風の如く大暴れしている。
ファラの戦闘スタイルは、俺とは対照的に武器も防具も一切身につけず己の肉体の身で戦う、非常に
普段から必要最低限にしか喋らない彼女は、これまたテンションが高くなって饒舌になる俺と違って、黙々とパンチやキックを繰り出すのみ。
だが、何よりもその拳の威力が明らかにおかしい。
ドゴォ!!
「ぼはっ!?」
拳がぶつかったとは思えない重低音が人体にめり込む。
そして哀れにもその拳をもろに受けた敵兵は、後ろにいた他の奴らを巻き込みながら、後ろの壁までふっとばされてしまう。
当然こんな威力の攻撃を食らえば、喰らった当人はもちろんのこと、巻き添えを食らった奴らも内蔵が滅茶苦茶になっていることだろう。
一応、彼女は力だけでなく技術も一級で、その気になれば少し拳を入れるだけで相手の心臓を止めてしまうような繊細な技も使えるんだけど、ぶっちゃけ腕力が強すぎて、大体の相手はそこまで小細工をする必要はない。
「あのデブは逃げたみたいね! このいえから脱出されるまえにぶっころすわよ!」
「うん」
「了解っ!」
部屋の敵を全滅させた俺たちは、親玉が逃げたと思われる扉から部屋の外に出た。そこは、広い吹き抜けの広間になっていて、目の前にはさっきやっつけた奴らの4倍近くの人数が待ち構えていた。
「放て! 不届き者どもを殺せーーっ!!」
すると、敵の親玉の合図が聞こえたかと思うと、二階の欄干から弓兵が一斉に矢を放ってくる! 数十本の矢が一点めがけて飛んでくる様子は、まるで黒い壁が倒れてくるかのような圧迫感がある。
あわや俺たちはこのまま全身ハリネズミ…………少なくとも俺たち三人以外の奴らはそう思っていたことだろう。
が、現実は非情だ。
俺たちをかばうかのように前に出たファラが、その場で全身の筋肉に力を入れると、降り注いだ矢は筋肉にカキンカキンと弾かれた。この光景には、その場にいる敵全員が度肝を抜かれたことだろう。
顔に命中した矢すら弾かれたのを見た時は、俺ですら「なんだこいつ!?」と思わずにはいられなかったくらいだ。
ま、本当は俺が前にいれば立っているだけで良かったんだが、少しはこいつの筋肉にも見せ場をやらないとな。
ならばこれはどうだと、今度は炎や雷が一直線に襲い掛かる。ほほう、魔術師までいるのか。
さすがに物理耐久力を誇る筋肉も、魔術が直撃すればタダではすむまい! 奴らはそう思っているようだが、残念ながらファラの筋肉を甘く見ない方がいい。彼女の無敵の筋肉の前には、魔術など手品も同然! あれだけの熱量を浴びたにもかかわらず、輝く筋肉には焦げ目の一つすらなかった!
「な、ななな! 何をしている! 何回も撃てば防げないはずだ! さっさとやらんか! ワシが死ねば貴様らに金が払えぬのだぞ!」
予想通り、敵の親玉は身の危険を感じてひたすら攻撃の指示を繰り出しているが、部下の兵士たちは大パニックだった。
命令を忠実にこなすべくがむしゃらに向かってくる奴もいれば、死ぬとわかって突っ込むべきかためらう者も、完全に及び腰になっている奴もいる。
「ふぅん、こうかはいまひとつだけど、いっぽうてきに攻撃されるのはいやだわ。ユカリ、二階のてきをみなごろしにしてきてちょうだい」
「お嬢様の仰せのままに!」
ここで俺は、お嬢様から二階の敵を全滅させろとの命令を受けた。お嬢様は、自分たちが一方的に相手を倒すことは快感に思うが、逆は不愉快この上ないのだとか。やはり王者たるもの、敵を圧倒してこそが戦なのだろう。
さて、二階に行くにはどこかから階段を上って行かなきゃならないが、階段を探すのはめんどくさい。せっかく廊下がむき出しになっているのだから、ここからジャンプしていけば大幅なショートカットになる。
ってなわけで、俺は万能走破性ブーツの足の裏にあるブースターに点火し、ロケットのように大ジャンプ! 一気に二階へ飛んだ!
ブーツのブースターは構造が単純だから細かい操作ができない。俺は二階の廊下に着地するというよりも、着弾したかのように頭から突っ込んでしまう。
武者兜型合成素材性ヘルムがなかったらたぶん即死だっただろう。
だが、奇襲効果はあった! 二階にいた弓兵や魔術士たちは突然の出来事に慌てふためいているぞ! 素人では二の矢がすぐには継げないし、攻撃呪文だってすぐには唱えられない! つまり今二階にいる奴らは完全に無防備だ!
「ハ~イ、敵兵のみなさ~ん! 今日は特別に俺の芸術的な光の舞をお見せしちゃうYO! 見物代は命で十分だからごあんし~ん!」
一直線に続く、経験値でできたヴィクトリーロードを見た俺は、テンションアップが止まらない!
俺が着地したところの周囲にいた弓兵たちは慌てて逃げ出そうとするが、可哀そうだとは微塵も思わず背後から次々に切り捨てる。
「ひぃっ! く、くるなバケモノ!」
「あわ、あわわわ! たすけて……!」
「ぎゃーっ!! やめてくれーっ!!」
敵兵たちは二階なら攻撃されないと思ったのか、援護できる近接攻撃ユニットを一体も配置していなかったから、まったく反撃できずにいる。狭い一直線の廊下で弓や魔術を撃てば、間違いなく味方に当たってしまうだろう。もっとも、護衛がいたところで俺にとっては結果は一緒だけどな。
それに武器で斬られるならまだしも、俺の武器は命中すなわち死亡だから、余計怖いだろうよ。
「くそっ! くそっ! こっちへくるなぁっ!」
「あひぃっ!! あひいいぃぃぃっ!!」
次々と敵兵を真っ二つにしながら進んでいく俺を見た、反対側の廊下にいる敵兵たちは、確実に迫ってくる死の恐怖に心が耐えきれなかったのか、まだ味方が逃げ切っていないのに俺にめがけて魔法や弓を乱射してきた。
恐怖で手元が狂った弓矢や魔法が、見当違いのところに着弾しまくり、少なくない数の敵が巻き添えを食らった。
俺はやさしいから、巻き添えのダメージを受けてしまって痛みにのた打ち回る敵兵たちに、トドメの一撃を与えて痛み(と肉体)から開放してやる。
たまに、俺に命中する軌道を飛んでくるのもあったが、やっぱり一方的に攻撃されるのは不愉快なので、宙返りや側転でスタイリッシュに回避する。
当たらない上に、余裕で回避されるのを見れば、残った敵どももさぞかし心が冷えるだろうな。
こうして俺が二階の廊下で斬って斬って斬りまくっている間に、一階ではお嬢様とファラが華麗なるダンスを披露していた。
ファラの拳やキックがジェット機のような唸りをあげて敵兵を粉砕し、お嬢様の持つ紅蓮の長槍が、詐欺みたいなリーチの長さで群がる雑魚どもを串刺しにする。
敵兵の中には、鎧をガチガチに着込んだ重装歩兵も、身軽な格好で巧みに剣を扱う剣士もいたが、二人の荒ぶる女子力の前には手も足も出ないだろう。
「おーーっほっほっほっほっほ! よわすぎて話にならないわね! あなたたちにレディーとおどる資格はなくてよ!」
特にお嬢様は、あれだけたくさんの敵を突き刺したり薙ぎ払ったりしているにもかかわらず、返り血が一滴たりともついていない。
高貴なるお嬢様にとって、下賤な輩の血を浴びるのは不潔だとでも言うのだろうが、そんな余裕を持って戦えていることが、お嬢様の腕前を物語っている。
ファラは…………一人ひとり相手するのが面倒になってきたのか、両腕を横一直線に広げて、そのまま敵の集団に突っ込んでいく。
そう、それすなわちラリアット! むねをたゆんたゆん跳ねながらの猛突進は、もはや人間ではなく戦車が突っ込んでくるような迫力がある。
まるでボーリングの球がピンを吹っ飛ばすように人を跳ね飛ばしながら、壁まで突き当たると、そこで体を数回転させて、まだ腕にくっついていた敵兵を振り払う。そしてまた別の密集地帯に向かって突撃していくのだ。
「ひぃっ! も、もうだめだぁ!」
「助けてーーっ! おがーぢゃーん!」
もはやこの二人はだれにも止められない…………敵兵たちは、絶望のあまり完全に戦意を失っていた。
だが、奴らにはまだ希望が残っていた!!
「侵入者どもめ、これ以上好き勝手はさせぬぞ」
「おお、ブルクハルター将軍!」
「ブルクハルター将軍だ!」
「将軍ならきっとやってくれる!」
大広間の奥の扉から、真っ黒なフルプレートを着こんだ、ファラと同じくらいの背丈がありそうな大男が姿を現す。
ブルクハルター将軍と呼ばれた鎧男が、一歩一歩歩くたびに、鎧がガッシャガッシャと鳴り響き、床がズシンズシンと揺れる。そして右手に鎖付きの巨大な斧を持ち、左手で身の丈を超える大きな盾を構える姿はまさにステージボスにふさわしい。
「伯爵、今のうちに脱出を」
「あ、後は任せたぞブルクハルター!」
敵の親玉が、ブルクハルターが出てきた扉から脱出し始めた! いそがないと取り逃してしまう!
「ファラ! こいつの相手はあなたにまかせるわ! 私はあのデブをおいかけるから!」
「はい」
お嬢様も、奴を逃すものかと追撃態勢に入った。
けれども、何を思ったかお嬢様は敵将ブルクハルターめがけて一直線に駆け抜けていくではないか!
「まちなさい! にげられるとおもったら大まちがいよ!」
「小娘! ここは通さぬぞ!」
お嬢様が単純に突破を試みていると思ったのか、敵将ブルクハルターはお嬢様の前で盾を構えて仁王立ちする。
どんな攻撃でも防ぎきる自信があるのか、ブルクハルターは怯えもせずにお嬢様を見据えている!
が、ふとした瞬間にお嬢様の姿が、ブルクハルターの視界から消える!
「む?」
目の前にいたお嬢様が一瞬で消えたことで、奴は姿を捕えようと顔を左右に振って必死に探すが、見当たらない。
それもそのはず、お嬢様は素早い身のこなしでスライディングをして、ブルクハルターの死角を潜り抜けていったのだ!
奴は全面金属に覆われたグレートヘルムを被っているせいで、逆に視界はめちゃくちゃ悪くなっているため、完全に見逃してしまったのだ!
そして、そこに向かってくるのが全身が
「まあいい、貴様から仕留めてくれる!」
ブルクハルターが、右手の斧を鎖ごとブンブン振り回し、遠心力をつけて、ファラめがけて投げつける!
奴もまたかなりの怪力の持ち主らしく、余裕で50kg以上ありそうな巨大斧が時速150kmという凄まじい速度で襲い掛かる!
だが、ファラも負けてはいない! 彼女は利き腕である右腕を少し後ろに引くと、一瞬で力を溜める! 太い血管が何本も浮き上がり、普段の二倍近くにまで太くなった腕から、強烈なパンチを繰り出した!
ガキィン!!
武器と拳! 勝ったのは…………拳だった! ブルクハルターの斧が、ファラのパンチで粉々に粉砕されてちまった!
「…………ありえん!!」
筋肉が真正面から武器に勝った、歴史的瞬間だ! だが、今はそのことをお祝いする者は誰もいない。俺がその場にいれば、祝ってやれたんだがな。
一方、自慢の武器を砕かれたブルクハルターは狼狽した。
後でファラから聞いた話では、兜で顔が全く見えなかったにもかかわらず、視界を確保するための僅かな隙間から、今にも飛び出しそうな眼玉が見えたという。
ファラの攻撃はこれで終わらない! パンチを振り切ってコンマ数秒もしないうちに、右肩を前に出し、タックルの構えを見せる!
ブルクハルターは慌てて自分の前に盾を構え、衝撃に備えた。確かに、防御しないよりかは若干威力が軽減されるだろうが、ファラにとってはそんなことはどうでもいい。
グワシャアァン!!
激しいタックルが、物凄い音を立てて鎧の塊にめり込んだ!
「ぐわああぁぁぁぁぁぁっ!!」
タックルを受けたブルクハルターの身体が「く」の字に折れ曲がり、そのまま大きく吹っ飛ばされる!
数メートル後ろにあった壁に激突してもなお止まらず、ぶち抜いて瓦礫の山を築くと、さらに数メートル中を浮いて、そこから地面を四回バウンドして、最終的には地面を直線で10メートルほど抉って停止した。
それはそれはひどいダメージを受けた彼は、何か言いたそうにもがき苦しんでいたが、兜の隙間からブクブクと血の泡を吹いて、やがて息絶えた。
いくら強いと言えども、生身の人間では所詮こんなものだろう。
「ぜぇっ……ぜぇっ……わ、我輩はまだ死にたくないぞ……! 我輩は……こんなところで死ぬべき人間では……ないのだ!」
一方で、大広間から玄関を抜けて何とか外に脱出したデブ伯爵。
あとは門から外に出られれば逃げ切れるはずだと、顔を真っ赤にしながら息も絶え絶えに、ヨタヨタ走ってきたが、残念ながら門には先客がいるんだなこれが。
「ふっふっふっ、とんでもない……待っていたんだ」
「ヒ、ヒィェナァゥヒャィェァアッーーーーー!!??」
それ即ち俺!
こんなこともあろうかと、二階の敵を全滅させたらそのまま外に出て、庭にいる兵士たちを一網打尽にしておいた。
あとは敵の親玉がのこのこやってくるのを待つだけという寸法だ。
伯爵は意味不明な叫び声をあげて、あわてて玄関の方に戻ろうとしたが……
「観念したほうがいいわよ、めすぶた!」
後ろからは追いかけてきたお嬢様が、槍を振り回しながら近づいてくる。
お嬢様、メスブタは女性に対して用いるものですよ。……いや、女性に対しても用いてはいけませんがね。
「おやおや、股のところがしっとりと濡れているようだなぁ。さてはお漏らしするほど、俺たちのことが怖かったか?」
奴にとっては、まさに前門に虎、後門にも虎といったところだろう。
このあたりで観念するかと思いきや、もはや後がないと悟ったらしく、死ぬ物狂いの抵抗をし始めた。
「だ……誰がテメェなんか、テメェなんか怖かねぇ!! ……野郎ォぶっ殺してやぁぁぁる!!!!」
伯爵は、懐にしまっておいた護身用の短剣を取り出すと、両手で持ったまま俺めがけてがむしゃらに突っ込んできた。
たとえ勝てないとわかっていても、男には戦わなければならない時がある……。
奴には奴なりの矜持があったのかもしれないし、ただ単純に混乱して自分を見失っただけかもしれない。
とりあえず、皆殺しにするとは言ったが、少なくともこいつは生かしておかないと、後々面倒だ。
俺はお嬢様やファラとは違って、きちんと手加減はできる。なので、こっちに向かってきてくれて本当にありがたい。
俺は、その場で微動だにすることなく、短剣を素手で受け止め、空いたほうの手で伯爵の鳩尾を殴りつける。きちんと手加減して放ったパンチなので、伯爵は気絶するだけにとどまり、そのまま縄でぐるぐる巻きにしてやった。
こうして、悪の親玉は捕えられた!
「やるじゃないユカリ! 生け捕りできるなんてすごいわね!」
「俺はパンチじゃ人殺せませんからねぇ」
さて、まだこれから一番大事なことが控えている。そのためにもいろいろと準備をしなきゃな。
「ああ、お嬢様たち! やっと終わったのですね! もー、私どうなるか心配でしたよ!」
「遅いわよハチエル。まったくおくびょうなんだから!」
ここで、今までその辺に姿を消して隠れていた、天使のハチエルが姿を現した。
ハチエルは、俺たちの旅に勝手についてくる天使で、腰のあたりに一対二枚の白い羽が生えていて、飾り気のない純白のワンピースを着ている。
回復の術が使えるのがとても便利なんだけど、物凄い臆病かつ平和主義者なので、こうして俺たちが戦っている間は姿を消す術を使って、一切戦いに参加しようとしない。
まあ、彼女は回復以外の一切の戦闘能力がないから、別に加勢してくれる必要はないが。
そんなハチエルには、実は戦闘終了後に重要な役目が待っている。
それは、俺たちの回復…………ではなく、敵兵たちの回復だ。そもそも俺たちはいつも無傷だから、回復の必要はない。
「おーいファラ! 回復できそうな奴は何人いた?」
「15人」
「ま、それくらいいればじゅうぶんでしょ!」
「あ……あれだけいたのに、15人しかのこらなかったんですかぁ!?」
あれだけの乱戦になると、低確率ながら攻撃を受けても死にきれなかった奴が何人か出る。そいつらを出来る限り集めて、きちんと縄で縛ってから回復してやる。意識がない奴も、術を使って強制的に目覚めさせるのだ。
今回生き残った敵兵は15人。それほど多くはないが、これだけいればシチュエーションとして十分だろう。いくらなんでも全員殺してしまうと、最後の最後で締まらない。
お嬢様にしてはそこそこ残した方だとは思うが、ハチエルにしてみれば、総勢500人以上いた中で、生き残ったのがたったの15人……わずか3%であり、やり過ぎだと感じるのも無理はない。
「それにですねお嬢様…………毎回毎回、このために回復させるって言うのも、いかがなものかなって……」
「いいじゃない別に。せっかく生き返らせてやってるんだから」
さて、生き残った15人+悪の親玉は、縄でぐるぐる巻きにされたまま、お嬢様の前に適当に並べられる。
「しずまれぇい!! しずまれぇい!!」
俺は威勢のいい声で「しずまれ」と連呼する。すでにこいつらは、力なく弱り切って静まっているからやる意味なくね? という突っ込みは無粋なのでやめてもらおう。
そして、満を持して――――
「この
赤・青・黄・緑・白の五つの宝石が埋め込まれ、その中心に金地のフェニックスが描かれた
悪党たちも、このエムブレムを見た瞬間、目を丸くして驚き、腰を抜かした。
「畏れ多くもこの方は、神聖オルニス帝国セレネ公爵令嬢アリアンロッド様にあらせられる!! 姫様の御前である、頭が高い、控えおろう!!」
『は……ははあぁぁっっ!!』
そう、旅途中の大商家の娘というのは仮の姿、お嬢様の正体は神聖帝国皇帝の親類の血筋に当たる公爵令嬢なのだ!!
自然と醸し出される圧倒的令嬢オーラが、自然と悪党たちの頭を地面へとつかせる。ついでに、先ほどまで殴られ放題だった、一般市民のジェイクも、その恋人アンナも、お嬢様の正体を知ると、頭を地面に埋め込まんばかりに平伏したのだった。
「ヴランゲーリ伯爵。将来私のものになる予定のこの帝国領土で、よくもすきかってしてくれたわね! その罪は万死でもまだ足りないくらいだわ!」
「へ…………へへーーっ!!」
「そして、そこの兵士たち! あなたたちは下っ端だからしぶしぶ命令を聞いていたってことにしてあげてもいいわよ! そのかわり、こいつらを隣の領土まで連れて行って、そこから帝都まで護送しなさい! この手紙をほかの国の領主に見せれば、きちんと対応してくれるはずよ!」
「あ、ありがたき幸せ!」
兵士たちをわざわざ何人か残したのは、こうやって一斉に土下座させるときに、そこそこの人数がいないとかっこよくないからというのもあるが、主犯格のお偉いさん方を捕えて、首都に送るための人手を確保しなければならないということもある。
下っ端の兵士たちは、そのほとんどが上からの命令で戦わせられていただけだ。極稀に、主に強く忠誠を誓っている奴もいるが、極悪人の配下にはそういった奴はほとんどいない。
なので、さらに強い権力で頬を叩けば、有無を言わさずこちらの手ごまにすることが出来る。
俺は、ヴランゲーリ伯爵をはじめとする4人の貴族以外の縄をほどいてやり、その辺に転がっていた武器を適当に渡してやる。
「忠実な帝国兵士たち! この罪人たちを皇帝陛下のところに届けるのよ!」
「ははっ! 公女様の仰せのままに!」
「おいゴラァっ! 早く立て! 公女様のご命令だ!」
「ひいぃぃぃ…………」
こうして、私腹を肥やして領民を苦しめていた悪徳貴族は、態度が豹変した兵士たちに連れられて、館から引きずり出されていった。恐らく奴らはあの後、皇帝陛下の裁きで、市中引き回しの上で磔だろうな。
「悪はほろびたわ! これにて一件落着ね! あーーっはっはっはっはっはっは!」
絢爛豪華な伯爵の屋敷は、どこもかしこも原形をとどめぬ死体が転がり、あたりは血の海。そして一般人二人がひたすら平伏する中で、ただお嬢様の高笑いがいつまでも響いたとさ。
××××××××××××××××××××××××××××××
「もう…………行ってしまわれるのですか?」
「まさかアリアンロッド様が公爵令嬢だったなんて、もっと早く言っていただければ町をあげておもてなしが出来たのですが……」
「いいのよ、気にしないで。私たちもあんまり時間をかけられる旅行じゃないの。また次に立ち寄ったときは楽しみにしているわ」
悪者を成敗した次の日に、俺たちはヴランゲーリ伯爵領の郊外で領民たちに見送られた。
自分たちを苦しめていた悪徳貴族たちが滅ぼされ、しかも正義の味方が帝国の公爵令嬢だったものだから、昨日の夜は領民たちによる盛大な祝賀パーティーが行われたところだった。彼らは、もっと長く逗留してほしいと願ったが、すでに予定がかなり遅れ気味なので残念ながら長居している暇はない。
「アンナ、わたしとあなたはずっと友達よ。何か困ったことがあったらいつでも言うといいわ」
「そんな……私がアリアンロッド様となんか…………」
「むー、約束したじゃない! 私とあなたは何があっても友達でいるって! 私はずっと忘れないんだから! それに、今度会うときも様はいらないからね!」
「勿体なきお言葉です…………」
「むむぅ~……」
お嬢様とアンナは、この町に着いてから友達になったのだが、お嬢様の正体がわかると、畏れ多いと思ったのか、遠慮してしまうようになる。これが権力者の辛いところだ。
「さ、そろそろ参りましょうお嬢様」
「……わかったわ。みんな、世話になったわ! 私がこれからきっととても素晴らしい国を作ってあげるから、その日まで待っていなさい!」
こうして、俺たち一行は次の町を目指して再び旅に出た。
後ろでは領民たちが、見えなくなるまでいつまでもいつまでも手を振っていた。
「あーあ、お嬢様はまたあんなに殺生をして……。これからは、もう少し穏健に行きましょうよぉ」
「仕方ないじゃない。私の身体から溢れださんばかりの正義力は、悪を根絶やしにするまで燃え盛るんだから」
羽をはためかせてホバリングしながらついてくるハチエルが、暴れすぎるお嬢様を嗜めるも、お嬢様は意に介さない。
「だいたい、なんで「私の物になる予定の帝国」なんですか……。云っておきますが、皇室があるかぎりお嬢様までは帝国の継承順位が回ってくることはないですし」
「あら、可能性はゼロじゃないわ。夢は大きく持たなくちゃ! ねぇユカリ!」
やべ、油断してたら俺に話を振られた。
「ええまあ、お嬢様が正義の味方でありつづける限り、帝国臣民はお嬢様の味方でありつづけるでしょう」
「ユカリはいつも回りくどいわね。たまにはストレートに「帝国はお嬢様の威光にひれ伏すでしょう」って言ってくれても構わないのよ!」
「ははは…………」
お嬢様、それじゃまるで俺が帝国相手に反乱起こしましょうって言っているようなものじゃないですか。反逆罪とかシャレになりませんよ。
「でも残念だったな~。せっかくお友達が出来たと思ったのに」
「仕方ありませんよ。急ぎの旅ですからね…………また、落ち着いたら会いに行きましょう」
「いいもん! 帝国がすべて私の物になったときには、帝国に住んでいる人を、全員私の友達にするんだから!」
「それは楽しみですね。ファラもそう思うだろう」
「楽しみ」
「やれやれ……先が思いやられますよまったく……」
孤高に育ったアリアンロッドお嬢様にとって、友達はまるで夜空の星のように……そこに無数に見えているにもかかわらず手でつかむことが出来ないものだった。
正義の味方は孤独な運命なのか。いやちがう…………少なくとも俺をはじめ、ファラとハチエルは、どんな時でもお嬢様の
そのためにも、俺たちは目的を果たすべく旅路を急いだ。
ハチエルの言う通り、そろそろ平穏無事な旅が続いてほしいな。
そうしないと、間に合わないかもしれないからな…………
――――神聖歴1066年
神聖オルニス帝国は、際限なく広がる領土と、腐敗していく政治が重しとなり、その体を支えるのが精いっぱいであった。
辺境では反乱が多発し、特権を持った世襲貴族たちは自身の私腹を肥やすことに力を注ぎ、軍隊も摩耗し弱体化してゆく。
さらに…………有名な占い師によると、帝国に史上最大の凶兆が間もなく襲いかかると言われている。
皇帝は山積みの問題に忙殺され、解決のめどは立たず、このままでは偉大な巨人は老衰により倒れてしまう……
だが、帝国にはまだ希望が残されている。
史上最強の公爵令嬢――――アリアンロッド様だ!
アリアンロッドお嬢様は、たまたま異世界から召喚された二人の無敵の戦士と共に、世直しの旅に出る。
巨体を誇る筋肉隆々の女性――ファラは、異世界では「アマゾネス」と呼ばれた女性だけの戦士たちの隊長だった。
この世界よりもはるかに昔の時代から来たからか、口数が少なく、世間知らずではあるが、物事を理解するのが非常に早い。鍛え上げられた肉体はそれ自体が武器となり、ファラの繰り出す鉄拳は城壁すらも粉々にしてしまう。古代が生んだスーパーウーマンの筋肉には、文明の利器は殆ど太刀打ちできなかった。
そしてこの俺、ユカリ・ヤナセは、この世界からもっともっと未来……人類が宇宙に進出している世界からの来訪者だ。
宇宙最高の技術力を誇る「ホウライ人」の俺は、元の世界では予備警察隊員、つまり軍事警察だった。旧世界で人気だった「時代劇」の大ファンだった俺は、光線刀が使えるからという理由で警察になったんだが、まさか異世界に来れるとは思っていなかった。
何を隠そう、お嬢様に世直しを吹き込んだのはこの俺で、紋章を見せるパフォーマンスも、俺が大好きだった時代劇をパクリ……もといリスペクトしたものだ。
そんな俺たちは、圧倒的な力で悪者たちをねじ伏せていくのだが、その裏では更なる陰謀が渦巻いていた……
果たして、俺たちは無事に帝国の平和を取り戻すことが出来るのか!
それはまだ神のみぞ知るところだ。
―――完
『この紋章が目に入らぬか!!』 ――チートお嬢様とチート未来人とチート筋肉が異世界で時代劇風に無双するおはなし―― 南木 @sanbousoutyou-ju88
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