101

 あなたは意を決して少女に話しかける。会話の取っ掛かりはやっぱり世間話が無難だろう。


「ども」

「あ、はい」

「えぇと、きょ、今日はいい天気ですね」

「そ、そうですね?」


 異性と話すのに慣れていなあなたはいきなりキョドってしまい、会話が若干不自然になってしまった。対する彼女も戸惑いながら会話に付き合ってくれている。あなたは何とか会話を持たそうと必死で話題を繋げていった。


「晴れて良かったですね」

「ですね」

「え、えっと……」


 天気の話題が終了していまい、早速あなたは言葉に詰まってしまった。気まずい沈黙の時間が流れる中、あなたの頬を一筋の汗が伝う。次の会話ネタを中々思いつけない状況で、今度は少女の方から話しかけられた。


「あの、私、そろそろ……」

「あ、そうですか」


 どうやら彼女にも何か用事があったらしく、この場から去らねばならないらしい。引き留めようにも、引き止める言葉を何ひとつ思いつかなかったあなたはここでも沈黙してしまった。そうこうしている内に、少女はあなたに向かってペコリと頭を下げる。


「では、良い旅を」

「よ、良い旅を!」


 この挨拶を最後に彼女はあなたの前から去っていった。折角会話を試みたのに実を結ばなかったと言う事であなたの心の中に後悔の念が渦巻いていく。

 自分の選んだ選択を軽く後悔しながら、あなたは観光を続ける事にした。広場のベンチに腰を掛けて、この街でまだ訪れていない場所はと、観光パンフレットを片手にあなたは次の行き先を考える。


 そうしてあなたは幾つかの候補地を選び出した。古代のロマンあふれる遺跡か、遺跡以外の観光地だ。



 そりゃもう遺跡でしょ

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886028099/episodes/1177354054886036748

 いや遺跡は止めておこう

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886028099/episodes/1177354054886073742

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る