第6話 まちに待ったまち

「ね?」


「いや、「ね?」じゃねーよ! あり得ないから

だって」


門番さんはそういいながらカードを投げた


「え? そんなことして……」


「見てろって、スタスオン」


今度はイケメンボイスでスタスオンを言うと

投げたカードが門番さんの手から出て来た!


「たとえ無くしたとしても必ず戻ってくるはずだぞ?」


そんな便利なの? 魔法ってなんでもありなんじゃないかな?


「……スタスオン!」


俺の出せるイケメンボイスと思われる声で言ってみたがやはり出ない……


そうこうしてるともう一人の門番さんが来た


「どうしたのよ……さっきから二人で楽しそうにしてるけど」


「いや楽しくしてねーからあり得ないこと起きてんだよマジ」


「そう……さっきすごく必死にこっち走ってたしそのこと?」


「いやそんなことよりスゲーわ、こいつカード出せねーのよ」


「え? それは……あり得ないわよ

言葉覚えたての子だってその呪文覚えれば使えるものよ?」


「だよな〜俺も使えた時は嬉しかったけな〜」


なんかさ何この二人マジ親しい感じ……見せられてるこっちの身も考えて欲しいわ


マジ羨ましい


「それにしても顔ぐちゃぐちゃね? モンスターにやられたの? 大丈夫?」


すると女性の方の門番ちゃんが話しかけてきた


「……あっハイ、新種? のモンスターに襲われて……」


「へーそれは災難ね〜、カードもそん時に?」


「……そ、そうなんですよ!カード消えちゃってしまいまして」


「……あなた嘘言ってるでしょ」


「……いや、言ってませんよ? 本当です!

本当に襲われて食われそうで死にたく無くて……」


「そう……でもね? モンスターと対峙してる時にカード出す必要あると思う? 私は思わない」


「お! そういえばそうだな、よくわかったなそれ」


「……いや、こんぐらいわからなくて門番をやってられると思う? 犯罪者見極めなきゃどうするのよ」


「うっ! そうだな……お、俺もなんとなくわかってたぜ?」


「ハイハイ、ソウデスネー」


「いやまじでわかってたし〜」


どどど、どうしよう……確かに言われて見れば戦闘中にステータス見る必要ないよな……


この人鋭いわマジ女性って賢いわちゃんと見てる感じとか……俺から距離を取る感じとかさ?

門番さんより二歩くらい門番ちゃんは遠いい……


「で? どう言い訳するの?」


これもう確定で嘘ついてることになってる言い方だよね?


「……えっ……えーとその〜…………す、すんまぜん! 嘘ついてました!」


もういいや! いい言い訳思いつかねーしそれにこの人に口で勝てる気がしねーもん……まっ俺は弟にも口で負けるしこれが俺さ?


だって俺だぜ?


「あら、折れるの早過ぎじゃない?

で? どこから嘘ついたの?」


「……カードを無くしたところだけです……本当です信じてください……」


「分かったわ信じてあげる、どんな魔法使ってカードを出さないようにしているの? そんなことできる人なんていないはずだわ」


「カード出ないようにする奴なんて初めて見たぜもしできること分かったら上に連絡しなきゃいけねーしな?」


「そうね……そんなことできる事で何か事件が起きるかもしれないから」


「……」


「あっごめんなさいね? どうぞ言っていいわよ」


「……えっと、無くした訳じゃないんです。

元から持ってないです……」


「……えっ? そうだったの? カード登録してないだけなの?」


「はい……」


「え? じゃあこいつ相当な田舎もんなん?」


「……そ、そうなの?」


ここはこの流れに乗るしかないよな……なんか俺生きていけるのかなぁ?


「……です」


「そ、そんな泣かないでよね? ね? ご、ごめんなさい。悪かったわでも、私達も仕事だからね?みんなを守る為だから、ね?」


「お前、ぐちゃぐちゃな顔が尚更ぐちゃぐちゃになってるぞ」


「なんてこと言うのよ! かわいそうじゃない!」


「う、うぐ、ハァ……」


「ほら! もっとひどくなっちゃったじゃない! 謝ってこの人に!」


「うっ、わーたよ! ごめんな?」


門番はテヘペロしながら謝った


「はぁ……カードはもういいわ無い物はしょうがないからね、でもタダで入るのはダメよ? 優しくないかもしれないけど……あなただけを優先することは出来ないわそれは理解してくれる?」


「うぅ……はい……」


「じゃあ10銅タプ出してくれる?」


10銅タプ? タプって日本で言う円かな? だよなうん、そうだよなー……でもね? 俺金もってないよ?


「ほら、町入りたいんでしょ?」


でも俺今、旅人っぽい服着てるって事はもしかしたら……


「お! おお! おー俺にも主人公補正が!」


「きゃー! 何よいきなり! 大きな声出して!」


「うおーー! なにしやがる!」


「あった……ありましたよ! ほら♪」


ポケットの中に入っていたものを取り出して門番たちに見せつけるようにゆっくり開いたすると…


宝石のような石が5個あった


「……これタプじゃなくて魔石じゃない」






え?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る