徒然なる侭に

チキチキボンボン

第1話

六月五日


本日は晴天なり。


朝は至って普通であって昨日を写したように同じ日になると思っておりました。

今朝はいつもより躰が重く気怠げでしたので、すこしばかりゆっくりと支度をしましたところ、わたくしの気づかないうちに半刻たっておりまして結果として学校へは一刻ほど遅れて出席いたしました。


わたくしは至極真面目な生徒ではなくとも日々楽しく過ごし先生にも信頼されるような生徒でしたのでこのような理由のない遅刻は初めてのことでございました。

ひとり朝日が強くなった坂をゆるゆると登りながら学校へ歩くのはなんとも自分がいつも通っている通学路とはすこし違うような気で心が地面につかない心地がいたしまして、毎朝がこんなだったらいいのに、とぼんやり思いながら毎朝の倍ほどかけて校門まで少しづつ、すこしづつ歩いてまいりました。


それからは特筆するようなこともなく本日の時程が粛々と行われ、わたくしの苦手な国語の授業で程よく睡眠をとり友人と帰りの坂をくだりまして今に至るわけであります。

帰り道のうちにイタリアンのレストランがひょこんと角にあるのですが、そこの窓が一つだけ開いていてテーブルに座っている男の人が本を読みながら料理を待っている姿のうちの暗さと窓の外の明るさのコントラストがいやにわたくしのなかに陰影をつくったのがただひとつ印象的でございました。


本日の夕は朝とは違いすこし雲がかかりはじめた涼しい気候となり、ラジオから流れる音声によりますと中部地方は梅雨入りをしたそうで。

もうそろそろこちらにも雨の季節がやってくるので在りましょうか。


本日夕方は曇天なり



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