Repetition Syndrome

朝川 林檎

第1話 2017/07/07

其処はとても暗かった


水の中で漂うような、堕ちていくような不思議な感覚がして。


でも其処には何もなくて。


自分という存在だけを感じていて。


手を伸ばしても、その手はなくて。


自分という存在が失われていくような感じがして。


ただ、其処は不思議と落ち着いた気持ちになった。




そして、私は実感するのだ。


「これが、死であるのだと」


不思議と恐怖はわかなかった


死を感じて諦めがついていたのか

私が生に冷めていたからだろうか


どちらにしても私はその「死」という感覚を受け入れた


どれくらいの間だろうか

長い間闇の中を漂流していたような気もするし

一瞬のことだったのかもしれない


「に…ない…し……な」


あぁ、どこからか声が聞こえる


「死にたくない」


はっきりと聞こえたその声に私は聞き覚えがあった


私の…声…


「死にたくない…死にたくない」


私はとても眠い…


あぁ、でも私も…まだ……。



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