一周忌

 土日になるとゆっくり休みたいと思うのが人の常ですが、現実的にはそうもいきません。どうしても毎週のように色々な行事があるものです。

 17日土曜日も、毎週の如く受験講座がありました。正直なところ、殆ど行けていません。前回の出席が10月7日、群馬へ旅立った日の午前でしたので、一ヶ月以上欠席の連絡ばかりしていました。流石にそれではいけないと、口を酸っぱくして前日から早く寝るように言い聞かせました。その甲斐あってか、なんとか8時前後に目覚めたのですが、身体が付いていかず、結局10時半過ぎに。しかもよりによってその日は日直だったというのに、本当に困りものでした。

 それでもどうにか行くことは言って、安心したのも束の間、午後からは入選した絵画コンクールの表彰式です。次女は入選なので、必ず行かなければならないわけではなかったのですが、こんな機会はそうそうないからと無理やり連れて行きました。

 選者の選評が聞けますし、せっかくなのでと付いていきましたが、私の方が限界で、気が付くと保護者席で力尽きていました。

 表彰式後、展示されている絵を取りに行くと、近所の方がお子さんと共にいらしていて、次女の絵を大層褒めてくださいました。

「写真みたい。一番凄かった」

 勿論、単なる入選で、その他にも様々な賞に入った絵が沢山ある中でそう言われるのは悪い気がしません。

 学校の友だちや地域の方々、他地域からの出品者の絵など、様々な人や絵に触れる良い機会でした。



 そして翌日、今度は1月に亡くなった祖母の一周忌がありました。

 朝11時からは和尚様が来てお経を読んでくださると言うことでしたが、うちは人数も多く、早め早めに行かないといつもギリギリになってしまうので、相当早く準備をしました。

 父からのメールで10時半には来てくれとのことでしたから、片道30分として、10時に出れば間に合うところを、9時半と家族に伝えたところ、次女も早く起きて支度しましたし、他の子たちもさっさと着替えてくれて、10時過ぎには到着しました。

 次女がまともな時間に起きて、予定時間よりずっと早く到着したことで、両親も大喜びしていました。少し前まで起きるのが辛くて横になっている時間が多かったとは思えないくらい、朝から普通に動いていました。

 次々に親戚がやって来て、私は挨拶をしたりお茶を出したりと忙しなくしていましたが、子どもたちは随分のんびり出来たようです。

 予定時刻通り和尚様がいらっしゃり、法要が始まりました。


 一通り終わると、お墓参りへ。

 天気がよく、歩いて向かいました。

 この頃は天気の悪い日が多かったのですが、びっくりするくらいその日だけ晴れ渡ったのです。

 実家からお寺さんに向かう道は、私が小学生だった頃の通学路でもありました。歩く度に、ここではどうだったとか、ここで遊んだとか、そういう話をするものですから、子どもたちもすっかり覚えて、墓参りのあとには壊れかけた遊具で遊び始めるのを止めるのが大変でした。

 場所を移して会食すると、その料理の多さに面食らい、食べるのがしんどいと言いながらも、子どもたちは結構な量のおかずを食べていたようでした。次女も、少し前までひとり分平らげるのでさえ苦労していたのに、少しずつ体調が戻ってきたことで、皆と同じくらいまでは食べられるようになっていました。

 大人たちは酒の席となり、口の止まらない私の父が親戚たちにずっと孫自慢していました。

 空手の大会で好成績を挙げ、全国へと進んだ姪っ子の話とか、部活動でうっかり全国大会へ行ってしまうことになった長女の話とか。そして勿論、先日コンクールに風景画が入選した次女の話も。

 写真を現像し、一人一人に次女の絵を見せては、凄い才能だ凄い才能だとホクホクしていました。

 両親には孫が8人います。私のところに5人と、妹のところに3人。弟は未だ子どもをもうけてはいませんが、この大勢の孫の一人一人を心配し、小さい頃からコツコツと孫用に積み立てしてくれていることも知っていますし、誕生日だからとお金をくれたり、遊びに行くとお小遣いをくれたり、とにかく生きている間しか出来ないからと、やたら気を遣ってくれるのです。

 私自身も就職を親の言う通りにしなかったり、早くに子どもを作って結婚したりと、色々心配をかけてしまいましたが、こうやって孫の自慢をしている父を見ると、どんな選択であっても、後悔しないように頑張れば幸せに変わるのかも知れないなぁと思うことがあります。

 お葬式の時には歩くのも大変そうだった次女が元気にしている姿を親戚にも見せることが出来たし、本当に良かったと思えた一日でした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る