いざ、本番へ!

 毎日毎日、合唱コンクールの練習が続きました。

 本番まであと一週間ともなると、午後は全部合唱練習です。

 給食を食べ、合唱の練習をして、歩いて帰りました。給食がダメでも、午後の授業時間までに登校して練習に参加しました。


 10月26日金曜日は診察の日。

 朝学校に連絡すると、


「四時間目に最後の合唱練習があるので、11時45分まで来られますか」


 と言われました。

 予約は10時。かなりギリギリです。


「早めに向かって、何とか間に合わせます」


 冷や冷やしながら電話を切りました。

 10時に診察予約があっても、混み具合によっては一時間近く遅くなってしまうことがあります。こればかりは仕方ありません。しかし、どうにかして次女には最後の練習に出て貰いたかったですし、本人も出る気でいました。

 いつもより早く起こし、頑張って病院へ向かいました。

 前回12日も同じ時間帯でしたが、そのときよりずっと体調も良いように見えました。やはり、合唱コンクール本番に向けて、かなり気合いが入っていたようです。

 診察に行くと先生は決まって、


「この二週間どうでしたか?」


 と聞きます。9月はかなりしんどかったのですが、10月は本当に頑張りました。

 毎日学校に行くようになってきたことを言うと、先生は、


「この調子で頑張りましょう」


 と、前向きな言葉をかけてくださいました。

 カウンセリングも終わり、時計を見ると11時を過ぎたばかり。学校に間に合いそうです。

 最悪薬局は後でと思いましたが、どうにかなりました。

 中学校に時間ギリギリで滑り込み、最後の練習も間に合いました。

 あとは本番を残すのみです。


「こんだけ頑張ったのに、本番で起きられないとシャレにならないよ」


 うんうんと、二人で頷き合いました。


 実はこの日から夫が広島に一人旅に出かけていて、留守でした。

 27日土曜日は長女も学校でテストがあり、お弁当も持たせなければなりませんでした。

 大変なのが目に見えていたので、かなり早く寝るように、子どもたちに言い聞かせ、私自身も早めに床に就きました。



 そうして、ついに合唱コンクール本番の10月27日土曜日が訪れました。


 朝8時10分集合。

 私はどうしたら次女をその時間に会場まで連れて行けるのか、全く思いつきませんでした。

 今までの例を考えてみても、そんなに早く出発出来た試しがありません。お弁当も作らなきゃ、長女を駅まで送らなきゃ。考えれば考えるほど憂鬱になりそうでした。


 ところが。

 奇跡は起きました。

 次女は起きていました。

 何が起きたのか分からなくなるくらい驚きました。

 お弁当を詰め、さて次女を起こさなくてはと思ったら、既に起きていたのです! 

 余裕で朝ご飯。余裕で準備。

 長女を駅まで送って、それから次女を会場のホールまで送りました。


「凄いね、間に合ったね!」


 車の中ではもう、そればかりでした。

 しかも、次女の後から到着する生徒もいました。最後ではなかったのがまた、驚きでした!

 3年生の順番は11時を過ぎてから。私は一旦家に戻りました。

 ゆっくりと起きてきた長男、三女、次男は当初一緒に連れて行く予定でしたが、面倒くさいと家で留守番をすることに。

 私は一人で次女の演奏を聞きに会場へ向かいました。

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