サルモネラ菌騒動

 親のいない間、暇だった長男がうさぎのチロルを何の片付けもせずに部屋に解放、3DSの充電器コードを食いちぎった2017年10月19日木曜日。学校を休んだものの、長男の体調は回復しているように見えました。

 しかし翌20日金曜日になると、またお腹が痛くなり、気持ち悪いと訴えてきました。具合が悪くなってからトイレで人知れず何度か吐いたり、下痢便したりしていたらしく、こんなにも続くのはおかしいと、だんだん見ている方も気持ち悪くなっていくほどでした。

 小児科では限界なのだろうかと、この日も午前中休んで、今度は内科に連れて行きました。しかし、内科は小学生お断りなので、小児科に行ってくださいと門前払いされ、結局またかかりつけの小児科へ行きました。

 原因不明、血液検査のみ行いました。結果は後日。

 あまりにももやもやするので、

「別の小児科に行ってみようか」

 長男を連れて、隣町まで行きました。


「もしかしたら、サルモネラ菌かも」

 診察するやいなや、先生はそうおっしゃいました。

「今物凄く流行ってて、うちの小児科でも数例あった。症状が似てる。念のため検査しよう」

「サルモネラ菌ですか? ニュースでやってたので知ってますけど、どこかで移ったとか……。家にうさぎいるのは関係ありますか?」

「いや、サルモネラ菌はどこにでもいるから、感染経路を特定するのは難しい。うさぎじゃないとは言い切れないけれど、感染力も強いから注意しないといけない。他に具合悪い人、家族にいる?」

「いえ……」

「症状も軽い方だから、整腸剤で様子見れば大丈夫だろう。治るのを待つしか無いね。結果でるのは一週間くらい先だから、そのくらいには治ってるだろうし」

 思いも寄らぬ診断結果に、目を丸くしました。

 当時山形では一部地域でサルモネラ菌感染症が猛威を振るっていました。

 学校へ連絡すると、

「ハッキリとわからない、疑いの状態では学校に来られても困りますから、お休みしてください。インフルエンザと同じ、出席停止扱いになります。はっきりと疑いが晴れてから登校させてください」

 つまり、一週間は家を出ることが出来ない――。

 夏休みの図画工作が入選し、長井市で行われる県の展示会へと出品されることの決まっていた長男でしたが、その展示会はくしくもその週末でした。

「長井は無理だね。学校にも行かれないのに、皆が行く展示会へ行くのはダメだよ」

 私に言われ、長男はガックリと項垂れていました。

 家に戻り、次女を学校へと送ってからまた仕事へ。

 土曜日に血液検査の結果を聞きに、かかりつけの小児科へ行きましたが、特に何も出ませんでした。

 サルモネラ菌感染症疑いと言われましたがと言うと、

「数値は割に安定しているから、違うと思う。けど、検査をしているならそれはそれで、はっきりさせた方が良いのでは」

 と、微妙な返答をいただきました。

 バタバタと一週間が過ぎていきました。


 次女は学校へ行くと、合唱コンクールの練習にも、少し参加していたようです。

 しかし、楽譜を渡されたものの練習する時間がなく、音程があやふやでした。出来れば大きな声を出したり、違うところは違うと言ったりしたいところだったようですが、立ち続けていると具合が悪くなるため、声を出すのがやっとだったそうです。

 先生方は合唱団に入っている次女にもアドバイスをして貰おうと、声をかけてくださったのですが、とてもコンクール上位を狙える状態ではない自分のクラスの合唱に、どう突っ込んだら良いのか、最早分からない状態だったようでした。


 10月23日月曜日、台風21号。

 学校は「合唱の練習に来るなら迎え行けるよ」とのことでしたが、急激な気圧の変化で具合を悪くした次女は休み。

 24日火曜日は、珍しく10時半頃起床。お迎えの日です。

 台風の影響は残っていましたが、天気は徐々に回復してきていました。

 車検の予約があり、朝からバタバタとしている中、今度は保育園から連絡。次男が発熱、じんましんありとのこと。車のない私の代わりに、夫が午後から休みを取って次男を迎えに行きました。38.9度まで熱が上がり、グッタリしていた次男でしたが、幸いアレルギーではなく、疲れからのじんましんではないかとのこと。

 25日、26日、長男は未だ学校を休んでいましたが、次男は病児保育へ。

 具合の悪い人が多すぎて、最早、何をしているのかだんだんよく分からなくなってきていました。

 小児科からの連絡が無く、念のため確認の電話をすると、

「サルモネラ菌は出ませんでした」

 これでようやく、長男のサルモネラ騒ぎは終わりました。もっと早い段階で2ヶ所目の小児科に行って入れば違ったのかも知れませんが、本当にバタバタとしていて、あのときは何が何だか……。


 こんなにめちゃくちゃな日々を送っていても、時間は刻々と過ぎていくものです。

 気が付くと、本番。合唱コンクールの日がやってきていました。

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