波乱の年度末

 長女と次女の通う中学校で、一人の生徒が命を絶ちました。その、臨時保護者会でした。

 娘たちとは殆ど交流のない子で、詳しい内容は今でもよく分かりませんが、自死だったようです。

 突然友人を失ったことで、不安定になる子どもが居るかもしれませんから、ケアをお願いします。学校でもカウンセラーを配備しますとのこと。

 これが原因なのか、体調不良で休む、早退する生徒が増えたと聞きました。

 くしくも年度末が近づき、多くの人がただでさえバタバタする時期でした。


 2017年3月16日木曜日、長女の卒業式。

 どうしても卒業式に出たいと、次女は必死になって学校へ向かいました。

 私は休み日数の関係で、仕事をしていました。

「あれ? 中学校の卒業式今日じゃないの?」

 職場の先輩や同僚に言われ、

「あれ? 天崎さん卒業式行かなかったの? 何やってんの?」

 卒業式と祝賀会の間にお客さんとして用事を済ませに来た、子どもの同級生のお母さんに言われました。

「有給の日数足りないんで。その代わり、明日の合格発表は休みます。幼稚園の卒園式で預かりもないし」

 娘の晴れの日にも出ることが出来ない。なんとも虚しい状況でした。

 夫が役員で卒業式に出たため、誰も来なかったということにはなりませんでしたが、28年度は本当にいろんなことがあり過ぎて、どうにもならなかったのを思い出します。

 前述の出来事があったので、祝賀会の規模も急遽縮小。こればかりは配慮せざるを得ません。


 翌17日金曜日は私が久々かつ年度最後の有給。

 夫は出張。次女は具合悪く登校できず。次男を保育園まで送り、三女を幼稚園に送り、卒園式後にお迎え。

 詳しいメモは残ってませんが、どうやら次女は合間を縫って私が学校に連れて行った模様。そのときに、生徒の自死が今後何かしらの影響を及ぼす可能性もあるから、休み期間中もしっかり見てあげて欲しい旨言われたような覚えがあります。

 午後発表の時間めがけて長女と次女連れて高校へ行き、番号を確認して大喜びしたら、その足で制服の採寸。夜は出前を頼んで寿司を食べたようでした。


 長女は私の母校に入学することに。とても喜ばしいことです。

 本当に、喜ばしいと思っていました。

 しかし、それは同時に、次女が春からは一人で登校しなければならないという伏線でした。

 朝起こすときも、

「4月からは長女居ないんだよ、頑張らなきゃ」

 と話していました。それがとうとう、現実になろうとしていました。


 遅刻続きながらも、どうにか修了式まで済ませた次女。

 春休みが始まった3月22日水曜日。


 運命の日でした。


 私に内示が出ました。

 異動でした。


 それまで8年勤めた営業店からの異動。

 4月から隣の市まで通うことになりました。

 もう、次女を朝学校に送り届けることが出来なくなりました。

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